第33話 高宮君の怖い話~雨女前編~

あれから何となく『呪い』については触れてはいけないような気がして、そのまま解散した。

家に帰って、自分の中で呪いについて再度考え直した。

けれど・・・。

「うん。やっぱり呪いは存在するんだよ。そうじゃなければ説明のつかないこともあるんだし。それにもしかしたら・・・。」

今後もオカルト研究会の活動を通して、こういうものに触れていくのかもしれない。

「気を付けよう。いつ、自分の身にも降りかかるかわからないしね。」

そんなことを日記に書いて、僕は目を閉じた。


「そういえば、あたしあんたの怖い話って聞いてない気がするわ。」

いつものように部室で過ごしていると、柑奈さんが突発的に言ってくる。

「ふむ確かに。柑奈はまだ聞いていないかもな。」

「その言い草だと、式子は聞いたの?」

「ああ。メリーさんのような話を聞いたね。」

「へ~優はそういう系の話するんだ~。若干だけど、尾口ちゃんと一緒で聞き専かと思ったよ。」

「でしたら、話しましょうか?」

自分でもわかるぐらいうずうずしている。

「ふふっ。」

そんな様子を式子さんに笑われる。

「面白そうだから聞いてみましょ。」

試すような柑奈さんの視線が僕の顔に刺さる。

ならば、話しましょう!

「では僭越ながら・・・おほんっ。これは、6月のことです・・・。」


6月は雨ばかり振るから嫌いだ。

サッカー好きのA君は雨が嫌いでした。

「つまんねぇ・・・。」

その日は土曜日で、外でたくさんサッカーができる日なのに、雨のせいで出来ません。

「くっそ。雨なんて無くなればいいのに・・・。」

部屋にいても何もやることはないし、雨のせいで出かけることもできない。

おまけに今日に限って父親が仕事で、家には母親と自分しかいない。

母親はと言えば、玄関でご近所さんと長話。

本当に何もやることがない。

「はぁ~こういう時、ゲームでもあればなぁ。」

A君の家は両親、特に父親が厳しく、『将来に役立たないものは必要ない』っという考えの持ち主で、ゲームを買ってもらえません。

そんな父親が唯一許したのがスポーツで、特にサッカーは厳格な父親が初めて応援してくれたものでした。

だからA君はサッカーで必ず結果を出すために、一秒でも多く、サッカーがしたいのです。

「ダメだな。プロの選手だったらこういう時、どうするか。そういうことを考えねぇとな。」

何をするか考えていると、視線のようなものを感じたA君。

「・・・気のせい、だよな?」

何だか気になって、視線を感じる窓の下をA君は見ました。

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