第34話 高宮君の怖い話~雨女中編~
窓の下の電柱近くに、青い傘を差した人が立っていました。
その人の顔は見えないが、スカートらしきものからA君は女性であると思いました。
「何してるんだろう?」
その女性は電柱の近くでずっと立ったままでいます。
電話をしているわけでも、犬を連れているわけでもなく、何をしているのか全く分かりません。
きっと誰か待ってんだろう。とこの時のA君は思い込み、再び外を見ることはありませんでした。
その翌日も天気は雨で、A君はまた何もすることがありませんでした。
少し前までだったら父親が「将来の為に勉強しろ!」と怒鳴りつけてきましたが、今はサッカーを応援してくれているのでそういうことはありません。
居間で母親と共にテレビを見ている状態です。
「はぁ~本当に暇。」
ボーっと、ベットの上で天井を眺めて過ごす無駄な時間。
だんだんと経つにつれ、無駄にしているのが嫌になり、A君はサッカー関連の雑誌を読み始めました。
すると、また視線を感じたのです。
「・・・もしかして?」
そう思って窓の下、電柱近くを見ると、昨日と同じ格好の女性が立っていました。
今日もまた、何もしないで立っているだけです。
「・・・何がしたいんだろう?」
少し気になり、窓から観察してみることにしました。
これが、A君が女性を気にしだしたきっかけでした。
それから毎日のように雨が降り、女性は毎日のように同じ場所に同じ格好で立っています。
それを観察し続けるA君。
最初は10分で飽き、次は20分で飽き、その次は30分で飽きる。
それを繰り返していくうちに、気がついたらA君は取りつかれたように女性を観察し続けていました。
「今日もいる。」
その日も雨で、同じように女性を観察していると初めて不思議な光景を見ることが出来ました。
それは久々の散歩だったのか、元気よく前へ前へ行こうとする犬に連れられたおばさんがちょうどその女性の前に来た時です。
突然犬が「ワンッ!ワンワンッ!!」と怒るように女性に向かって吠えだしたのです。
「ちょ、ちょっと!?どうしたのよチョコちゃん!?」
でも、おばさんには何で犬が吠えているのかわかっていない様子でした。
「・・・どういうことだ?」
おばさんが引きづって連れて行った犬は、姿が見えなくなるまで吠え続けました。
けれど、女性には驚いて様子も無ければ、微動だにしていません。
少しぐらいは驚いてもいいんじゃないか?
そう疑問に思ってしまったA君は、思い切って女性に話しかけてみようと部屋を飛び出したのです。
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