91.5話 立ち上がれ、仲間の為に
ミシシッピのところへ向かいながら、ソフィーは紫音に質問する。
「ところで勝つ算段はあるの?」
「特に無いけど、今度は4人だし多分大丈夫じゃないかな」
「まあ、それもそうね。4人だし大丈夫よね」
三人がミシシッピの所まで来ると、クリス、カシード、エスリンはスピードに対応できずにいたのか、それなりに傷ついていた。
「みなさん、大丈夫ですか?」
紫音の問いかけに、三人はそれぞれ紫音に声を掛けてきた。
「シオンちゃん、よく戻ってきてくれたね。正直俺はもうボロボロだよ」
ミシシッピの攻撃を引き受けていた為に、カシードの盾も体もボロボロになっている。
「シオン、あなたこそもう大丈夫なの?」
「シオンさん、再びこの場に戻ってきたアナタの勇気に敬意を! さあ、力を貸してください!」
三人が喋り終わった後、ミシシッピが自分の番だと言わんばかりに話し出す。
「ヨクモドッテキタナ。アノママニゲダシテイレバ、シナズニスンダノニ!」
「みんなをこんなに傷つけて! 今度こそ倒すから!」
紫音は二刀流で構えると、今度は自分から仕掛ける。
「あのスピードを出す前に!!」
紫音は斬撃を繰り出すが、テールステップで回避されて逆に攻撃を受けてしまう。
その斬撃を二刀流で☓の字にして受けると、もう片方の斬撃が紫音を襲うがそれはエスリンが盾で防いでくれる。
「やらせない!」
だが、ミシシッピはその場で体を回転させると、遠心力の乗った強力な尻尾の一撃をエスリンの盾に叩きつける。
「うわっ!」
エスリンは盾越しであったが、あまりの威力に吹っ飛んでしまう。
「エスリンさん!」
「タニンヲ、キニシテイルバアイデハ、ナイゾ!」
ミシシッピが、紫音をテールステップで翻弄して攻撃しようとした時、紫音の【女神武器】の宝玉が輝きそこから声が聞こえる。
<希望を捨てずに、強大な敵に立ち向かうアナタ達の勇気と仲間を思う誠心を持つ者達を信じて、私はアナタ達に新たな力を授けます>
ミシシッピが武器を振り下ろした時、先程までそこに居た紫音はすでにおらず斬撃は空を切る。
「ドコダ!?」
ミシシッピがそういった瞬間、背中に紫音の斬撃を受ける。
「グワ!!」
ミシシッピは驚いて後ろを見るが、紫音はすでに居ない。
さらに今度は腕を斬りつけられる。
ミシシッピが冷静になって、周りを見ると紫音が残像を残すぐらいの速さで周りを移動していた。
ミシシッピは、テールステップで自らも加速させ紫音を追うが追いつけない。
「バカナ! スピードデ、ワタシガマケルダト!?」
ミシシッピは、超高速で移動する紫音に一方的に斬撃で斬り刻まれていく。
紫音とミシシッピは先程とは、見事に立場が逆転していた。
【女神武器】の特殊能力で強化されているのはスピードだけでは無く、戦闘能力とオーラをブーストされている。
しかも、二刀についた女神の宝玉×2によって、他の【女神武器】よりも効果は単純計算で2倍であった。
「はああぁぁぁ!!」
紫音は強力なオーラブレードで、ミシシッピをボロボロにしていく。
「ハイパーオーラバスター!!」
紫音は止めに二刀を前に振り下ろして、オーク戦で見せた巨大なビームのようなオーラを放つ。
「グワアアアアア!!!」
ハイパーオーラバスターと名付けた巨大なオーラウェイブを受けて、ミシシッピは断末魔の叫びをあげた後に魔石に姿を変える。
紫音は、そのまま出続けているハイパーオーラバスターを90度方向転換させて、敵の後衛部隊に向ける。
ハイパーオーラバスターを90度方向転換させている軸線上にいたリザード達は、大ダメージを受けるかそのまま消し飛んで次々と魔石に姿を変化させていく。
そして、直撃を受けたリザード軍の後衛も次々と姿を魔石にしていく。
しかし、紫音はハイパーオーラバスターを撃ち終わるとオーラを使い切って、糸の切れた人形のようにその場に倒れた。
「ちょっと、シオン・アマカワ!? 大丈夫なの!?」
ソフィーは心配しながら、倒れた紫音に慌てて駆け寄る。
すると、クリスが周囲を警戒しながら、二人に近づいてきた。
「大丈夫よ。オーラを使い切って、意識を失っただけだから」
そして、クリスは前回と同じだと解ると、紫音が落した女神武器を鞘に収めてから、再びアフラに担がせて後方に連れて行かせる。
「アフラ! シオンを後方に連れて行って」
「は~い」
アフラはシオンを肩に担ぐと、後方に走っていく。
「また、届けにきたよ~」
「きゅ~」
救護場所の地面に敷かれているシートの上に、アフラはそう言いながら担いできた紫音を寝かせる。
「シオンさん、またですか!?」
エレナは再びアフラに連れて来られた紫音に驚く。
「今度はオーラを使いすぎただけだって~」
「それなら安心ですね」
エレナは他の負傷者を回復しながら安堵する。
「紫音ちゃん、お疲れ様。もうゆっくり休んでいても大丈夫みたいだよ」
アキは戦場を見ながら、気を失った紫音にそう声を掛けた。
戦場では新たな【女神武器】の特殊能力を得た者達が、リザード軍を押し始めていたからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます