200話 祝200話記念



 今回は200話記念ということで、本編とは関係ないお話となっており、登場人物の性格が少し違っているのを御了承ください。


 #####


 ミレーヌ邸の裏庭―


「というわけで、祝200話記念で何かしようと思うけど、みんな何か案はあるかな?」


 庭に生えている緑が鮮やかな芝生の上でそよ風に吹かれながら、紫音がPTメンバー一同に意見を尋ねる。


「別にこれと言って無いわね。いつもどおりアナタとリズで馬鹿話でもしていれば?」

「ソフィーちゃんのバカーー!!」


 紫音はやる気のないソフィーに、助走して近づくとフライングクロスチョップをお見舞いする。


「はぅ!?」


 ソフィーは喉元にクロスチョップを受けて、地面に倒れてしまう。


「なっ…、何するのよ、いきなり!」


 ソフィーは、いきなりフライングクロスチョップをお見舞いされた理由を尋ねるが、紫音は彼女のその質問を無視して逆に質問してくる。


「せっかくの200回という記念の回なのに、どうしてそんなにテンションが低いの!」


「それはそうでしょうが! 100回目は何もしてないのに、どうしてとってつけたかのように、200回目だからって何かしないといけないのよ!?」


「ばかーー!!」


 紫音はそう言いながら、再びソフィーに助走しながら近づく。


「ひぃ!?」


 ソフィーはクロスチョップを警戒して、両腕を上げて喉のあたりをガードすると、紫音はそのガードに打点の高い綺麗なドロップキックをお見舞いする。


「ひゃう!」


 ソフィーはドロップキックを受けて、またもや地面に倒れてしまう。


「今日のシオンさんはアグレッシブな性格ッス」

「じゃあ、紫音ちゃんは何かやりたいことを思いついているの?」


 アキの質問に、ドロップキックを放って、地面に倒れている紫音は、立ち上がるとこう答えた。


「記念行事と言えば、『200回記念! 三夜連続深夜馬車だけの旅』だよ!」

「そんなことするわけ無いでしょうが!」


 今度はソフィーが、ツッコミと共にフライングボディアタックを、紫音にお見舞いさせる。


「はぅあ!?」


 ソフィーと紫音はそのまま重なって地面に倒れ込む。


(どうして二人は、本編にいっさい出てこないプロレス技を応酬しているのかな?)


 アキは二人のプロレス技の応酬を見てそう思った。

 エレナが仕切り直すために話を続ける。


「他に何かやりたいことはありますか?」


 その問掛けに、最近本編では出番のなかったアリシアが名乗りを上げて、自分の考えを話し出す。


「わたくしとシオン様のその……、愛の百合百合絡みシーンなんてどうでしょう……?、きっと読者も喜んでくれます」


 アリシアが照れながら願望を吐露すると、紫音はアリシアに近づいてこう言った。


「アリシア、目を瞑ってそこでじっとしていて……」

「はい……」

「そんな一部の人しか楽しめないことは出来ません!」


 紫音はまたもや宙を綺麗に舞うと、お姫様にも容赦なくドロップキックで制裁する。


「あぅ!? 本編であまり出番がないのに、番外編ですらこんな仕打ちを受けるなんて~」


 アリシアは上腕の辺りにドロップキックを受けると、その場にお姫様らしく優雅に倒れ込んだ。


 そして、満を持してアキが提案をしてくる。


「ここは、私のBL特別読切りを……」

「アキちゃん……。そんな一部しか喜ばない話は、駄目って言ったよね……」

「アキさん、そこに立って……」


 ソフィーは、無表情で彼女に指差す場所に立てと指示した。


「はい……」


 へっぴり腰で腕を上げてガードするアキのその腕に、紫音とソフィーはツープラトンフロント・ハイキックを当てる。


「あうぅ!?」


 アキはその攻撃で後ろに尻餅をついてしまう。

 その一連の様子をミリアは怯えながら見ていた。


「あのー」


 リズがなにか言いにくそうな感じで話しかけてくる。


「どうしたの、リズちゃん?」

「そもそも今回200回目じゃないッスけど……」

「え!?」


「本編以外にも数話掲載されているので、厳密に言えば206話目ッス…」

「……」


 少しの沈黙の後に紫音がリズに問いかけた。


「どうして、もっと早く言ってくれなかったの、リズちゃん!? おかげで紫音お姉さん恥かいちゃったよ!」


「それに被害者も出ずに済んだのにね……」


 ソフィーが呆れた顔でそう呟く。


「もう、紫音ちゃんのうっかり者―(怒)!」


 アキはそう言って、紫音の背中をバシッと力強く叩いた。


「いたっ! ちょっと、アキちゃん痛いよ~」

「シオン様の、粗忽者~(怒)」


 アリシアも力強く紫音の腕をバシッっと叩く。


「あっ痛い! アリシアも強く叩きすぎだよ…」

「もう、紫音先輩ったら~、今度からはちゃんと、確認してからしなさいよー(怒)!」


 ソフィーはそう言いながら、紫音をバシバシ叩いてくる。


「もうホント仕方のない人だな~。あはは あはは あははのは」


 紫音が笑顔の皆にバシバシ叩かれながら、この茶番は幕を閉じた……


 ※なお今回の登場人物は、全員冒険者として鍛えられているので、プロレス技ぐらいでは怪我をしませんので、ご安心ください。

 なお、良い子の皆さんは決してマネをしないでください。




 サングラスを掛けた大男「昔から『石橋を叩いて渡る』って諺があるぐらい確認は大事っすわー。でも、準備周到しすぎて、時間と手間の無駄になって取りこし苦労になるのも困りものですわー。いずれにしても、自分自身が充分納得できる準備をして、事に当たるようにしたいものでわー」

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