141話 狙われている?
「授業中、教科書を見ずにBL本を読む人間がいてもいい。
自由とは、そういうことだ」
~ 自由について ロール・スイス
(※良い子の皆さんは真似をしないように)
##########
援軍としてオーガ漸減任務に赴いていた“月影”が合流して、トロール本拠点侵攻作戦に加わった事により、不利になっていた戦況を何とか立て直すことが出来た。
「さっさとこのデカイ奴を倒して、カムラードの援軍に行かないとな!」
スギハラは目の前のデナリを見て、紫音達に聞こえるようにそう言うとさらに指示を出す。
「レイチェルさん、君は正面で奴の注意を引いてくれ。死角から隙を見て俺とシオン君で奴の足にヒット&アウェイでダメージを与える、その後に副団長と魔法使いが魔法でダメージを与えてくれ」
「了解した」
「了解です」
「あっ……、はい……(私だけ要求されている難易度が高い気がする……)」
紫音はそう思いながら返事をしたので、少し間が空いてしまった。
「じゃあ、いくぞ!」
スギハラの号令に元に一同は散開する。
紫音とスギハラは大回りでデナリの周りを走って、背中側まで辿り着くとレイチェルが注意を引くのを待つ。
レイチェルはゲイパラシュにオーラを貯めると、デナリにオーラウェイブを放ち命中させるが、あまりダメージを与えなかった。
だが、デナリの注意を引くには十分で、レイチェルに対して武器を振り下ろす。
レイチェルはその攻撃をオーラステップで後方に急速回避すると、デナリが武器を振り上げたと同時にオーラステップで急加速して突っ込んでいく。
「やあっ!!」
「でやぁ!!」
紫音が右足に、スギハラが左足にそれぞれオーラを纏った刀で斬りつけ、すぐさまオーラステップで距離を取る。
逃げる紫音にデナリが武器で攻撃しようとするが、そこに援護を兼ねた魔法が撃ち込まれダメージを与えると同時に彼女への攻撃を中断させた。
「ふぅ~、怖かった……」
紫音はデナリの攻撃範囲から逃げ切って、ひとまず胸をなでおろす。
レイチェルは続けてまたオーラウェイブを放って、デナリの振り下ろした攻撃を回避する。
紫音はまた接近して右足を斬りつけると、また素早く逃げ出す。
デナリはまた紫音に向かって攻撃をしようと武器を振り上げる
「また、わたしっ!?」
紫音は焦りながら全力で走っていると、この攻撃も魔法攻撃で中断され、紫音は無事に攻撃範囲から逃げ切った。
「どうして、私ばかり狙うのよー! トロールのバカ~!!」
こうして、その後も攻撃するたびに狙われた紫音は、ストレスのあまりにデナリに向かって叫ぶ。
(そんな銀色の派手な鎧を着ていたら、注意を引いて狙われて当然じゃないシオン……)
クリスはそう思いながら、魔法の詠唱を続ける。
スギハラの鎧が黒を基調にしているのに対して、紫音はミスリル製の銀色鎧であるため、余計に目立って狙われてしまっていた。
紫音が攻撃から逃げ切った時に、魔法攻撃を受けたデナリが遂にダメージの蓄積で片膝をついた。
紫音はそれを走りながら見ると、すぐさま踵を返してデナリに向かって刀にオーラを溜めながら走り出す。
何度も狙われたことのプレッシャーから紫音の心はピンチと判断して、女神の秘眼を発動させ、そのおかげでデナリの足元に走って来るまでにオーラを十分溜めることができた。
「廻転斬!!」
紫音は膝をついてない右足に、強力な攻撃を叩き込んで切断することに成功する。
続けて、縮地法で急加速してきたスギハラは、跳躍すると両手で持ったオーラを溜めた刀をエビ反りになるまで後ろに振り上げ、エビ反りからの強力な振り下ろしと落下の勢いが足された強力な一撃を、叩きつけるようにデナリの左足に放つ。
「地鳴!!」
その強力な斬撃を受けたデナリの左足は見事に切断された。
両足を切断されたデナリは両膝をついた状態から、丁度武器を持った右側に居た紫音に攻撃をしようとしたが、ノエミのオーラアローを顔面に受けて少し怯んでいるうちに、紫音に脱兎のごとき速さで逃げられてしまう。
両足を攻撃した二人が距離をとったところを、再び魔法が撃ち込まれる。
「飛翔剣!!」
魔法攻撃によって怯んだ所を、紫音は急接近してジャンプするとオーラを溜めた刀で、デナリの背中を斬りつけた。
「空廻!!」
紫音に続いて、スギハラは高く跳躍すると浴びせ蹴りの要領で、空中で前転してデナリの背中をオーラの宿った刀で斬りつける。
背中に強力なダメージを受けたデナリはたまらず前に倒れ込み、両手をつくと武器を持っていた右手にオーラステップで加速して接近してくるレイチェル。
「スピンブレイクスマッシュ!!」
そして、体を捻ると元に戻す勢いを利用しながら、オーラを溜めたゲイパラシュを力一杯に水平に薙ぐように叩き込んで右手を切断した。
「花冠!」
残った左手に縮地法で急加速したスギハラが円を描くような、横薙ぎを左手目掛けて振り抜き切断する。
両手を切断されたデナリは、そのまま地面に倒れ込んだ。
そして、時間はアキとソフィーが紫音の活躍を見ようとした所に戻る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます