109話 会議は踊る、されど微動だに動かず
前回までのあらすじ
ポンコツ大主教がやらかして、姪バカ魔術師にアイアンクローされて、人類少しピンチで、腐女子少女が何か思いついて、ヘタレポニーが緩い説明して、ツンデレに突っ込まれて、ジト目が心の中で呆れた。
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”みんなで頑張ってトロールを倒そう会議“が始まり、フィオナが最初に皆に謝罪する。
「この度は私の失態の所為で、皆さんに迷惑をかけることになって申し訳ありません」
「気にしないでください、フィオナ様。誰にだって失敗はありますから」
紫音がフィオナにそう言って、その意見に皆も同意の頷きをおこなう。
「そっ、そうです。フィオナ様の失態は、我々が戦場でカバーしてみせます!」
スギハラが大ファンのフィオナの前で緊張しながらそう言った。
「そうです、そのためにみなさんここに集まったのですから。私も、微力ながら頑張ります」
エレナもフィオナのために、力を尽くす旨を発言する。
「ありがとうございます、スギハラさん、エレナさん」
自分の為に頑張ってくれるスギハラとエレナに、フィオナは感謝の言葉を口にした。
紫音は根本的な質問を行う。
「ところで、私はトロールとまだ戦ったことも、見たこともないんですが、どんな敵ですか?」
「トロールは大きさ3~6メートルくらいで、その巨体から繰り出される攻撃はまともに受けては、こちらが潰されてしまうから回避しなければならないわ。但しその分動きが遅いから、その弱点を突いてトロールが近づいてくるまでに遠距離攻撃で削って、倒しきれなかったら接近戦をするのが基本よ」
紫音の疑問にクリスが答える。
「あのー、良いッスか?」
リズが手を挙げて、発言の許可を求めた。
「はい、リズちゃん。何かな?」
「ここで集まって会議して、何か意味があるッスか? 作戦を考えるとしても、要塞の人と相談しないと行けないッスよね? この会議で出来ることって、がんばろうとか、負けないぞ、とか意気込みを言い合うことしか出来ないんじゃないッスか?」
リズのこの質問に紫音が答える。
「作戦を考えて、それをユーウェインさんに提案して……」
「それだったら、やはり要塞でするべきでは?」
「それは……。ソフィーちゃんがこの会議をやろうって言ったんだから、ソフィーちゃん説明どうぞ!」
紫音はリズのさらなる質問に、そう言ってソフィーに丸投げする。
「えっ?! あー、えーっと……。お姉様!!」
ソフィーは正直あの場のノリで思いついた為、そこまで深く考えていなかった。
そこでクリスに助けを求める。
「まあ、リズちゃんの言うとおりこの場での作戦会議は、あまり効率は良くないかもしれないわね」
「では、何のために集まったんスか?」
「今回の戦いが、いかに負けるわけにはいかないか、その為にみんなで頑張ろうという共有意識を持って、団結力を高めるのには良かったのではないかしら?」
「決起集会みたいなものだな」
クリスの説明にスギハラが付け足す。
「クリスお姉さんから、そんな精神論が出てくるとは思わなかったッス」
「あら、団結力はもとより戦いには精神論も時には重要よ?」
「そうッスかね……、理論派の私としては理解しがたいッス」
リズは納得していない感じであった。
「リズちゃんって理論派って言いながら、カードゲームでは理論無視した一発逆転のギャンブルデッキだったよね?!」
リズに突っ込む紫音。
「何を言っているッスか、シオンさん! 自分達のような資金もなく、引き運もない者にとってギャンブルデッキはガチガチデッキに、唯一勝てるかも知れないロマンなんッス!」
その紫音にリズは、お財布事情と共に反論した。
「ロマンって論理性の対義よ」
クリスが冷静に突っ込む。
「リズちゃん、君も魔物バトルをやっているのかい? 実は俺もやっているんだ」
スギハラがカードゲームの話に喰いつく。
「おおっ! スギハラさんもやっているッスか!」
リズは眼を輝かせて、スギハラを見る。
「俺だけじゃない。そこにいるカシードやカムラードもやっているんだ」
「今度、デュエルして欲しいッス」
「今度と言わず、今からするかい?」
リズの申し出にカシードが、こう言って鞄からデッキを取り出して答える。
「望むところッス!」
リズも鞄からデッキを取り出して応えた。
「他所でしなさい」
クリスが呆れた表情で、二人に注意する。
二人がクリスに言われた通りに、これから行われるデュエルに意気揚々と部屋から出ていくと、その様子を見ていた紫音がこう皆に問いかけた。
「えーと……、この会議続けます?」
彼女はこの会議が、意味があるのかどうか解らなく無ってきたので、恐る恐る皆に聞いてみる。
「フィオナ様と人類の為にも、頑張って何としても勝つ! これだけみんなの心に刻んで今回の会議を締めくくるとしよう」
スギハラがそう言って、会議を締めた。
「よし、俺もさっそくデュエルだ!」
そして、そう言って部屋を出ていく。
「さて、私はクランに帰るわ。フィオナ様、それでは失礼します」
グダグダな会議内容とその終了に、紫音はどうしたものかと思っていると、クリスはそう言って帰っていった。
「私達はどうしましょうか?」
「お昼ご飯にしましょうか?」
紫音のこの言葉にフィオナが、“昼食を食べよう”という彼女らしい緩い提案を提案してきたので、紫音達はその提案に賛成して昼食を食べることにした。
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