幕間?
??話 その1
「ハァハァ……、やった、遂に魔王を倒した……」
死闘の末、魔王を倒した紫音だったが、魔王の玉座の後ろから全身に黒い鎧を纏った者が現れた。黒い騎士は剣を抜く、あきらかに敵対行動を取る。
「ハァハァ……、まだ敵がいるの……!?」
「会いたかった……、会いたかったです、シオン様!」
黒い兜を脱いだその顔はアリシアであった。
「アリシア!?」
アリシアは剣に紅いオーラを纏わせると紫音に斬りかかる!
「紅いオーラブレード!?」
オーラブレードで強化した刀で、紅いオーラブレードを受け止める紫音。
「闇に落ちたの、アリシア!?」
人のオーラは黄色もしくは水色である、紅い色のオーラは闇の力を意味する。
「私への裏切り行為への報い受けてもらいます、この闇の力で!」
鍔迫り合いの状態から、アリシアは紫音を力いっぱい押す。
「わたくしとシオン様は、運命の赤い糸で結ばれていたということです。そう、戦う運命にあったということです!!」
魔王戦で体力を消耗していた紫音は、あっさりと体勢を崩しながら後ろに押され、崩れて無防備になった所を左肩に斬撃を受ける!
「くっ!?」
左腕に力が入らないほどの怪我を負ったにもかかわらず、不思議と痛みはなかった。
アリシアは続けて斬撃を繰り出してくるが、紫音は今度の斬撃には対応して刀で防ぎ、また鍔迫り合いとなる。
「アナタとの運命の出会いに私は心奪われた……この気持ち、まさしく愛です!!」
「愛!?」
「ですが愛を超越すれば、それは憎しみになる!!」
「行き過ぎた信仰が内戦を誘発するように、好きな人に冷たくされた者は思考を先鋭化させていくのです!」
「好きな人を相手に何故戦うの!?」
紫音はアリシアに蹴りを入れそれにより体勢の崩れた、ヤンデレ面に落ちた彼女の胴に横薙ぎを入れダメージを与える。
「ヤンデレに戦いの意味を問うのはナンセンスです!」
「アリシアは歪んでいる!!」
「そうしたのは、私に冷たくしたアナタです! わたくし以外の者と仲良くしたアナタという存在です!!」
紫音とアリシアはそう言い合いながら、激しい斬撃をお互いの体に与えあう!
「だから私はアナタを斃します! そして、わたくしだけのアナタにします! 世界も魔物も魔王もどうでもいい、わたくしの意志で!!」
「その世界の平和を守るために、今まで戦ってきた、そうじゃないの!」
「シオン様がわたくしのものにならない世界なら、そんな世界わたくしはいらない!」
「アリシアは、自分のエゴを押し通したいだけだよ! その歪み私が断ち斬る!」
「さあ、わたくしの愛を受け止めてくださいシオン様!!」
紫音とアリシアの最後の気力を振り絞った剣は、お互いの胸を刺し貫いた!
「ハニー、リル、仇は……」
「アリシア…… の二人…、誰……?」
胸を貫かれた紫音は、そのまま意識を失う。
――もちろん最低の夢落ちだった
紫音はベッドから飛び起きる、するとまだ胸に剣で刺された感触が生々しく残っているような気がした。
「なんだろう、この鮮明な夢の記憶は……まさか……」
チート転生モノだと思っていたけど、もしかしたら死に戻り、もしくは並行の世界線を行き来するという設定盛々なのではないかと一瞬思ったが、そんなことはないと考え直して紫音は2度寝することにしたのであった。
###
サングラスを掛けた男
「いや~、男なら一度はヤンデレ美少女に、命を狙われるぐらい愛されたいもんっすわー。ですが、実際選択肢を間違えて監禁されるぐらいならまだしも、命を奪われるのは勘弁したいものっすわー」
「今回の話もその選択肢を間違えたら、有り得るかもしれない話っすわー。」
「みなさんもヤンデレ選択肢には、気をつけることっすわー」
※今回は作者の好きな作品のオマージュです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます