偽装結婚3

数日後、鉄道部4人の自宅に債務者が戸籍を異動した自治体の市役所より戸籍異動の通知書が届く。

それを見た4人の家族はびっくり仰天!

一目散に大宮大成高校に足を運んだ。

4人は学校で授業中だったので、4人のクラスの担当である生城山ふきた灯子とうこが親との対談に応じた。

「一体うちの娘はどうなってしまったのでしょう?」

「私たちの知らないうちに除籍なんて何があったんでしょうか?」

「本人たちに問い質したいところですけど、私たち普段の仕事が激務でなかなか問い質す時間もないんです!」

「恥を承知でお願いします。どうか、事件の真相を解明してください!」

「すれ違いの日々で何もしてやれなかったのが悔やまれます…」

「どうか、よろしくお願いします!!」

親達は事件の解決を教師生城山灯子に依頼した。

「どうか、顔を上げてください」

「……」

「任せてください…この一件、私が仕切らせていただきます」

「!?」

「本当ですか!?」

「全て…仕切らせていただきます…」

「ありがとうございます!!」

灯子は依頼を引き受けた。

だが保護者を見るその目は白かった。

この一件は放課後の職員会議にあがった。

「どういうことだ?」

「わが校始まって以来の出来事だぞ?」

「生城山先生!どうなさるおつもりなのです!?」

校長以下教職員が灯子に詰め寄る。

「任せてください…この一件、私が仕切らせていただきます」

灯子は動揺することなく冷静に切り返す。


その夜は4人の中で親子の会話はなかった。

すれ違いの生活に加え、親も親で教師に事件解決を丸投げした負い目があったからだった。


翌日、灯子は鉄道部の4人を呼び出した。

「あなたたち、私のあずかり知らぬところで大事件が起こっていたけど、これはどういうことかしら?」

「そ、それは…」

4人に市役所からの戸籍異動通知書を見せ、4人はたじろぐ。

「そればかりか1300万円ほどの莫大な額のお金がうちの学校の部活動名義の口座にプールされているみたいだけど、一体出所はどうしたのかしら?」

「どうしてその在り処を!?」

「通帳なら私が持っているはずなのにっ!?」

「学校名義なら教職員が資産管理名目で簡単に調査できるわよ」

灯子はSSA銀行の大宮大成高校鉄道部名義の口座残高証明書を印刷した紙を4人に突きつける。

「そ…そんな…」

「さぁ存続か廃止か、Dead or Live!?」

「……っ!?」

観念したのか4人は灯子に事の経緯を話した。

「あなたたちっ、人生を何だと思ってんのっ!?鉄道旅行の資金のために偽装結婚ですって?目先の資金稼ぎのためだけに人生を棒に振るつもり?そんなんだからあなたたちの進路は廃線なのよ」

「なっ…」

灯子は4人を叱り飛ばす。

「ついてらっしゃい!この騒ぎに蹴りをつけに行くわ!」

「はい?どこへ?」

「決まっているでしょ!」

灯子は鉄道部の4人を引き連れて湘南新宿ラインで渋谷の国鉄金融に向かった。

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