第十話 巴蜀の変

 それから時が流れ・・・・・・。 

 その日、広間には劉備配下の全武将が集合して、机の上に広げられた地図を前に各々の意見を言い合っていた。

「なら、ここから攻めればいいんじゃないか?」

「いやいや、だったらこっからの方が効果的じゃね?」











 遡ること二時間前。

 自室で仕事をしていた劉備のもとを帝がお忍びで訪れてきた。

「陛下が忍んで私のもとを訪れたってことは、何か頼みごとがおありなのですかな?」

 劉備が何もかも見透かしたような眼で帝を見ると、帝は照れ隠しのように笑って見せた。

「いやぁ、叔父上には隠し事は出来ませんなぁ」

 二人だけしかいない部屋は、劉備の性格を現すかのように質素そのもので、豪華な飾りや置物の類いは何一つない。

「叔父上は、もう少し贅沢をしてもよろしいのでは?」

 部屋に入った帝の第一声に「私は贅沢はあまり好まないのですよ」と劉備は苦笑したのだ。

 帝は早速本題に入ることにした。

「叔父上は巴蜀の事は聞いていますか?」

「いや」

 帝はそれではと手短に事の次第を話し始めた。

「巴蜀は我々の一族の劉璋が治めていたのですが・・・・・・、一族のことをとやかく言いたくないのですが、まぁお世辞にも言えないくらいの暗君でして民からそれはそれは陳情が絶えなかったのですが・・・・・・。

───それはさておき、その劉璋が先月、同じく一族の劉悒りゅうゆうによるクーデターにより殺害されましてな」

「・・・・・・・・・」

「劉悒は太守になるや、やりたい放題の悪政に悪政を重ねまして民衆からは不平不満の声が上がるも、奴はそれを私軍で一方的に弾圧する始末。逆らう者には容赦しない。奴の圧政に耐え兼ねて、先日元劉璋配下の法正・張任らが奏上に参りました。私は劉悒の討伐を決意してその任を叔父上に任せたいのです。

───叔父上。劉悒討伐、引き受けてくださいませんか?」

 帝の───正確には、旧劉璋臣下の───願いに劉備は快く引き受けた。

「暗君だったとは言え、同族の者を殺して悪政とは言語道断。必ずや劉悒の首級をあげてきましょう」

 帝は大層喜んだ。

「それはありがたい。では早速知らせてきましょう。後日、法正らを寄越します」

そう言って帝はこっそり洛陽に戻っていった。

 その後、劉備は諸将を招集、事の主旨を簡単に話し、現在に至っている。









「え~でもこっちから攻めた方がよくない?」

「・・・・・・玄徳さん。ちょーっといいッスか?」

 龍二が額に人差し指を当てながら議論を中断させる。「何だい?」と彼が問えば、龍二はそこにいるはずのない人間に安徳から借りたハリセンで後頭部をシバいた。

「何でアンタここにがいんだよっ!」

 ツッコまれたその人物───公孫瓚は後頭部を押さえながら頬を膨らませて反論した。

「何だよぉ~。ボクがここにいちゃいけないのかよぉ~」

「いけねぇよ! アンタ仮にも北平太守だろうがっ! 太守の仕事はどうしたっ、仕事は!」

「そんなのはん(公孫瓚の弟)と魯鮑に任せてきたよーだ」

それって仕事放棄じゃないの、と泰平が心の中でツッこんだ。

「アホかっ!! 何で自分の仕事放棄してこっち来てんだよっ!」

 彼は哀れにも彼女の為に仕事を押し付けられた二人を代弁してツッコんだ。

「玄ちゃんと一緒にいると楽しいんだもーん♪」

「楽しいって、おまっ、アンタはガキかっ!」

「ガキじゃないもーん」

 こんな問答が暫く続いたのだが、劉備は全く止める気はないらしい。むしろ楽しんでいる。それはどうやら他の将軍達も同じように眺めていた。

 ただ、その中で一人安徳の血管は軽く痙攣していた。いち早く気付いた泰平が止めるように忠告するが白熱していて聞きやしない。

 ついに安徳が立ち上がった。愛刀長光を抜いて。瞬間、その場の者(龍二と公孫瓚を除く)の顔から血の気が引いた。

 言い争っていた二人の眼前に、光輝く刀身が現れた。

「二人共? いい加減になさいな」

 顔は笑っている。が、その後ろにはしっかりと般若がお控えなさっていた。

 公孫瓚はビックリして固まったが、横槍を入れられて興を削がれた龍二は食いかかった。

「んだよッ、邪魔すんなっ!」

 牙を剥いて振り返った。

「何か言ったかなレ~ン? それとも、今すぐにでも地獄の閻魔大王のもとに召されたいのかなぁ?」

 鬼も逃げ出すような顔で、安徳は刀の切っ先をピッタリと龍二の首筋に当てた。そのまま石になっていた公孫サンを見た。

「何か言うことは?」

「あっ・・・・・・いや、・・・・・・スンマセン」

「・・・・・・ゴメンナサイ」

二人が謝った。好き好んで閻魔大王を激昂させる必要はないのだ。安徳はそれを聞くと長光を鞘に納めもといた席に座った。

──彼を怒らせる事は真剣まじによそう──

 諸将全員一致で、達子のときよろしく暗黙の了解に、それも超最重要事項に組み込まれた。

 その後、会議は安徳を刺激しないように慎重に進行していった。

 四日後、劉備軍は我が物顔で巴蜀をほしいままにしている劉邑を討つべく、徐州城門前に集結した。その時、龍二はいつか遊ばれた女と再会することになった。

「あっ、テメェ、あん時のっ」

「あ~、白龍君だ~」

 その女は、馬上からいきなり龍二に抱きついてきた。

「おわっ、テメェ引っ付くなっ」

「えへへへ~」

 女はデレた顔で龍二の迷惑など一切お構いなく気にすることなく完璧に無視して好き放題している。

「はーなーれーろーっ!!」

「にゃはは~。白龍君気持ちいい~」

「テメェは猫かゴラァ!」

「猫だよ~」

「真顔で真面目に返すんじゃねぇ!」

「・・・・・・おぉ、白龍が珍しく苦戦してる」

 強敵の出現に龍二は完全に手を焼いていた。女が返答する度に、龍二のストレスボルテージがぐんぐん上昇していく。

 この時代に猫がいたかどうかはさておくが。

「おや、尚香。何してるんだい?」

 そこに、遅れてやってきた劉備が女に微笑んだ。

「あっ、玄ちゃん」

「あ゛っ!?」

 ぐわぁっ、と龍二は女の方に向く。

「アンタ、もしかして孫尚香か?」

「えへへ~、そうだよ~」

 猫のようにじゃれつきながら女───孫尚香は柔らかい笑顔で答える。それに頬を赤らめる龍二を見て達子がムッとした。

「紹介が遅れたね白龍君。彼女は孫尚香。私の妻だ」

「えへへ~。よろしくぅ」

 孫尚香はさっきより強く引っ付いてきた。龍二は何だかどっと激しく猛烈に疲れた。性格は違えど、ある時の達子の扱いくらい、疲れる。龍二は、これから戦に出掛けると言うのに、全く関係ない所でこんな無駄に精神を使ってしまったことを軽く後悔していた。

 そこに、帝と共に旧劉璋配下の法正・張任らが四万の兵を引き連れてやってきた。

「叔父上。よろしくお願いします」

「玄徳殿。この度はご迷惑をおかけする。よろしくお願い申します」

 帝と張任が挨拶すると劉備も笑って返す。

「えぇ、お任せください」

 劉備は留守に龐統と月英六万を残し、旧劉璋軍四万を合わせた総勢二十万で、敵前線基地・綿竹へ出発した。







 綿竹───

 日中でも、隙間がないくらい密集した竹林には太陽の光が木洩れ日、もしくはそれよりかマシな光しか入らない為、夕方のように薄暗い。

 そういった場所なので、ある種の目印のようなものはここにはなく、よくここを知らない人が入っては迷うことが頻発していた。故に、何かしらの目印やその類をつけていくことが、ここを通る人達の間の常識となっている。

 一部の人の話では、この竹林にはぬしがいるかどうか分からないが、立派な、そして堅牢な城があるという噂があるのだと言う。

「・・・・・・綿竹ってそんなトコなんか?」

「白龍。ここが異世界ということ、忘れちゃいないかい?」

「・・・・・・サーセン。忘れてました」

 劉備軍が目的地綿竹の入口に到着すると、既に別の一軍が駐屯していた。

 これなん荊州の黄忠、字は漢升と魏延、字は文長率いる荊州軍だった。聞けば、旧劉璋配下の孟達が荊州太守・劉表に頼み込んで援軍として連れてきたらしい。

 彼らを交えて作戦会議を始めた。その結果、劉備を総大将に先鋒・趙雲らが前から、東から右翼・関羽・黄忠ら、西から左翼・張飛・魏延らが綿竹を抜けて劉悒が籠る成都城を目指すことになった。龍二達は趙雲隊に編入された。

「皆さん。ここ綿竹は天然の迷宮です。くれぐれも油断しないように」

 進軍前、各々の将に軍師諸葛亮はこう忠告した。











 趙雲を先頭に先鋒隊五万は法正を案内に綿竹をつき進んでいる。龍二らもそれに続く。

「子龍」

 馬を寄せてきて青龍が小声で呼ぶ。

「敵に囲まれておるぞ」

 思わず振り向こうとする趙雲を「そのままでいろ」と青龍は小声で制止させた。

「数は?」

「確認できるだけで二百。じゃが、まだ増える」

「どうしますか?」

「悟られぬようにせい。そうして、何気無く退くんじゃ。このままでは地の利なき我らに不利」

 しかし、その間もなく茂みが揺れ、敵兵が現れ奇襲を仕掛けてきた。忽ち趙雲隊は混乱しだした。

「落ち着け、落ち着くのじゃ! 敵は寡兵ぞ、恐れることはない!」

 これまで何人もの主人と共に戦場を駆けてきた青龍が叫ぶも、そう簡単に収まるはずもない。逃げ惑う味方を眼にして、青龍は舌打ちをした。

「子龍、蓮っ、撤退じゃ! 尚姫、泰平、お主らも手伝え」

 青龍の決断は早い。混乱を収めることができないと見るや、〝正気で〟いる将軍達に敵を蹴散らしながら本陣まで戻れと下知を下した。将軍達もそれに従い、襲いかかる敵に怯むことなく立ち向かっていき、兵士達に指示を出しながら少しずつ後退を始めた。

「政さん、為さん」

「合点承知」

 将軍達が己の命を張って守った兵士達を、泰平の式神である政義、為憲率いる式神武士団が護衛しながら戦場から次々と離脱させる。

「リンちゃん、お願い」

 明美が自身の武器『聖麟』に告げると、中から金髪の男がでてきた。

「オーケー、任せときな」

 彼女の守護獣である麒麟が現れ、青龍らに加勢する。

「おぉ、お主か。有難い」

「麒麟~。よろしく」

「ほいきた。いっちょ暴れてやりますかねっ!」












 龍二は大量の汗を流しながら殿しんがりを務めていた。しかし正気を保っている者は指の数ほどしかいないので、一人が数人分の働きをしなければならず、その分疲労も溜まりやすくなる。

 その為、龍二を始めとする殿隊の集中力が切れ始めていた。肩で息をしているあたり、それが現れている。

(くそっ、キリがない───)

 その時、彼の後ろの茂みがガサリと動いたのだが、疲れきっていた彼は全く気付かない。

『後ろだ、龍二!』

 誰かの声が直接彼の脳に響いた。声の通りに振り向くと、敵が上段にあげた剣を振り下ろすところだった。避けようとするも、疲労の為に反応が遅れ、避けきれない。

「!!」

 それでも強引に身体を動かして斬撃を避けた。何とか致命傷は避けられたものの、その代償として右眼を失う羽目になってしまった。敵の斬撃は右半身を鮮血で染め上げ、斬られた右眼を反射的に右手で触る。槍は先程の斬撃の衝撃で落としている。

「もらったっ!」

 これを見た敵兵が一斉に襲いかかってきた。

「抜かせっ!」

 龍二は無事な左眼で敵を睨むと、右腰の龍牙を抜き、そいつらを薙ぎ払った。

 その時、左眼だけだがいつかのように燃え盛る炎のように真紅色に変わっていた。彼は、無意識に群がる敵を斬れるだけ斬った。その姿は、まさに鬼神の如きものだった。

 彼の左眼は鷹のように鋭いもので、見る者を脅えさせるのに充分だった。

「退けっ、退くんだ」

 隊長らしき男の指示で、襲撃部隊はは撤退を始めた。

 敵の撤退が完了したと同時に、龍二は緊張から解き放たれたのか、その場にぶっ倒れた。

「蓮っ!」

「白龍っ!」

 気付いた泰平達が思わず叫んだ。

「誰かっ、布を持ってこいっ!! 早くしろ!!!!」

「玄徳殿に知らせろっ、急げっ!!!」

 趙雲らの叫びに、殿として残っていた、逃走中にそのことに気づいた兵士達が慌ただしく行動し始める。知らせに行く者、布をかき集める者、下知を飛ばす者、彼らを守ろうとする者。

「残りは周囲の警戒だ! 気を抜くな!」

 様々な言葉が飛び交う中、達子は龍二の側に駆け寄った。

 酷いものだった。右半分が血で真っ赤に染まっていて、その血も傷口から流れたまま止まる気配がない。どうやら深く切られているらしく、傷口に当てた布もすぐにぐっしょり紅く濡れる。

 達子は服の袖を引きちぎりそれを傷口に当てた。

 布が濡れ尽くせばまた新たにちぎり、当てる。足りなくなれば濡れた布を絞って当てる。それを繰り返した。

(死んじゃイヤ)

 自然と、達子はこう思った。

 明美、泰平、安徳は龍二を運ぶタンカを作る為に、政義や為憲、数名の兵士の手を借りて手頃な木を斬り倒していた。その間も、兵士達はあちこちに動き回っている。

 斬り倒した木を泰平の術による縄で縛り、同じようにかき集めた布を術で縫い上げて即席のタンカが完成した。そこに龍二をゆっくりと乗せると急ぎ本陣に退散を開始した。

「わしらが殿を務める。お主らは急いで本陣に向かうのじゃ」

 青龍が趙雲隊の兵士に指示して守りについた。趙雲は兵士に下知を飛ばし、その場から急ぎ離れた。

「急ぐぞ! 白龍君を死なせてはならないぞっ!」










 目覚めると、そこは見渡す限り一面が霧に囲まれていた。

 ここはいつだったか青龍と初めて会った場所によく似ているようだが、霧が深すぎてよく分からなかった。

 何気無く右眼に触れてみたが、眼球の代わりに傷があるのが分かった。

「これじゃ、また見ることはムリだな。・・・・・・あーちくしょう油断してた」

 疲労があったとは言え、こうなったのは力量不足の自分のせいである。

───こりゃぁ帰ったらどやされるな

 彼は嘆息した。戻った後に親父にどやされる。

「・・・・・・ここはどこだ?」

 キョロキョロしながら龍二は自問する。

───どこだが分からない場所は無闇やたらに歩かない

 父の教えである。それが、まさかこんな時に役に立つとは思わなかった。父に感謝感謝。

 そういうことで、彼は霧が晴れるまで待つことにした。

「・・・・・・つか、なーんだって俺の夢はこうも霧に包まれてるのかね?」

 ぽっつり龍二が呟く。とはいえまだ二回目なのだが、そんなことをいちいち覚えているほど龍二の頭はよくない。直球で言うならバカである。

 そんなことはさておき───

 その時、靴の音が霧の中から聞こえてきた。誰だろうと龍二は足音が聞こえてきた方に顔を向けた。

 足音が近付くに連れ、足音の主が霧に影として現れてきた。

 背は彼より若干高く、服は袴のようだ。腰には刀を帯ている。服からして、ここの人間ではないことは分かった。

「よっ、久しぶり、龍二」

 手を振っているであろう男の声に彼は耳を疑った。そんなはずはないと龍二は即座にそれを否定した。何故なら、その声の主は既にこの世にいないのだから。

 霧の影の主が、その姿を彼の前に晒した。

 龍二の眼がかっと見開かれた。

「兄・・・・・・貴・・・・・・・・・?!」

 影の主は龍二の亡兄・進藤龍一であった。道場でよく見かける白と青の胴着姿で、三年前と変わらぬ姿で龍二の眼の前に立っていた。

 龍二は眼をぱちくりさせていた。

「何だよ。ありえねぇ、って顔しやがって」

 苦笑いしながら兄は近づいてくる。

「へっ、うぇっ、えっ、あっ、兄貴!? 何で? ん? へっ、てぇと、俺死んじまったのか?」

 龍二はまだ混乱していた。

「落ち着けバカ野郎」

 龍一はパニクっている弟の脳天に拳を叩きつけた。

 ぐわんぐわんと眼を回す龍二に龍一が話し出す。

「早合点してんしてんじゃねぇよバカ。お前はまだ死んでねぇっての。

───何、〝お前が重傷だって聞いたもんだから〟ちょいと意識飛ばして聖龍と一緒にお前を治してやろうと思って来たんだがな」

 もし、龍二がもう少し勘が働いていたならば、今の兄の言葉に疑問を持ったことだろう。

 それはおいといて、龍一が言うと、彼の近くが光を発し、そこから金髪黄金眼の男が現れた。アレが兄の龍・聖龍なのだろう。

「───どうやら、無駄足に終っちまったがな」

 兄は嘆息する。

 兄の発言に彼は疑問に思った。無駄足になったとはどういう事だろうか。

「俺が来た時には、既に治ってたんだよ。そこ以外はな」

と龍二の右眼をビシィッ、と差した。言われてみれば、確かに右眼以外の傷は綺麗サッパリ跡形もなくなくなっている。

「アレが目覚めたんかな」

 兄は龍二の右眼をじろじろと見ながらそう呟いた。

「アレってなんだよ、兄貴」

 しかし兄はその質問に答えなかった。

「───どうやら、時間のようだな」

「はっ?」

 龍一の後ろが、後光のように光だし意識が遠退く感じがした。

「ちょっ、お、おい、兄貴───」

「今度会った時に全部話してやるよ」

 そこから先は覚えていない。















 腹部の圧迫感に気づいて龍二は眼を覚ました。首を横に向ければ、綿竹の隙間なく絡み合っている木々の枝が広がっている。逆を向けば『劉』の旗が風になびいている。

 ここは本陣で、どうやらあの後ここまで運び込まれたらしい。

「・・・・・・・・・」

 何気無く右眼に触れてみたが、やはり傷しかない。しかし肩の辺りの傷は夢と同じように綺麗サッパリ跡形もなくなくなっている。

「ですよねぇ~・・・・・・・・・」

 彼は腹部の圧迫間を忘れて先程の夢について考えを巡らせていた。兄のこと、眼を除く傷の快復のこと、そして兄が口にした『アレ』のこと。

 多分、『アレ』とは龍のことだろうと推測するも、どんな龍の事を言っているのか見当がつかなかった。

「あ゛――――何かムシャクシャして・・・・・・ん?」

 腹部の圧迫感のことをすっかり忘れていた。気付いた龍二は首だけを起こし、そこを見た。

「・・・・・・むにゃむにゃ・・・・・・zzz」

 そこには、達子が自分の方に可愛い寝顔を向いて心地よい寝息をたてて寝ていた。周りを見れば、泰平、明美、孫尚香、公孫瓚、玄武、呉禁が同じようにその辺に寝ていた。

「コイツらに感謝しときぃや」

 振り向くと束帯姿の為憲が胡坐をかいて座っていた。手に丸くて両端に紐のようなものがついたものを持っている。

「あっ、ためさん。何でそんな服着てんの?」

「アホ。俺は元々摂関家の人間やぞ。普段からこれで過ごしとんのは当たり前やろ」

「あっ、そうか」

 九条為憲は室町時代後期の関白であったことを以前本人から直接聞いていたのをすっかり忘れていた。

「ごめん忘れてた」

 ったくと言いながら為憲は話を戻すことにした。

「アイツら、お前がぶっ倒れてから今日まで交代交代で看病しとってんねんぞ。特に達子なんか、今日までの五日間ずーっとお前んトコ離れんと、不眠不休で看とったんやで?

───まあ流石に、今は寝とるようやけどな」

(へぇー・・・・・・達子がねぇ)

 普段から口喧嘩が絶えない彼にとって、彼女の意外な一面を見た気がした。

「ほんで、達子どかすんか?」

「───んや。別にいいや。何か、たまには悪くないかな、こう言うのも」

 微笑して首を戻した。それを後ろに組んだ手の上に乗せた。

(何や知らんが、随分と丸うなったやないか・・・・・・・・・)

 そんな龍二を見た為憲は苦笑した。

 為憲は手に持っていた丸いものを彼の横においた。

「何これ?」

「ん? あぁ、眼帯の代わりになる思うてな。ヤスにもろうた鍔に紐つけてみたんや。後で着けてみてくれや」

 そう言って為憲は何処かへ行ってしまった。

「言い忘れとったが、まだ動くなや? 傷は治ってるようやが、身体はそうもないからな。いい機会やから、不休で働かせとった身体を休ませてやれや」

 彼の言葉に従い、龍二はもう一回、達子の寝顔を見てから再び眠りにつくことにした。












 暫くして起きると、他の皆は起きていた。眼を覚ました彼を見て、呉禁らが抱きついてきた。

「わりぃな。心配かけた」

「ホントだよ。もし君が死んだら僕らは龍造さんに何て言ったらいいんだい?」

「んな大袈裟な───」

「おぉやっと起きたな。ほな、ソレ早速つけてみてくれや」

 そこに為憲がやって来て先程の鍔型眼帯を指しながら言った。

 早速着けてみると、意外と似合っているらしく、好評だった。

「よう似合っとるやないか♪」

「まるで誰かさんみたいだな」

 泰平の言葉に龍二はあぁと手を打った。

「独眼龍か・・・・・・それはいいな」

 彼が小さく呟いた。

 独眼龍とは無論、安土桃山~江戸前期に活躍した奥州の大大名伊達藤次郎政宗のことであるのは言うまでもない。

「やぁ、元気そうだね。傷は大丈夫かい?」

 龍二が眼を覚ましたと聞いて、劉備らが見舞いに来始めた。

 彼らの話を聴きながら、龍二は遠くの方で密かに泣いている達子を発見した。

 それから二日後、劉備軍は再び成都城へ向けて進軍した。

 鬱蒼としている森は、相変わらず薄気味悪いが、どう言うわけか、今日に限って生温い風が吹いていて更に気味悪い。何事もないことを祈りつつ、慎重に軍を進めた。

「あ゛ー空気悪りぃ、気分悪りぃ」

「はーい文句は言わなーい。そんなに溜まっている鬱憤があるんならそれは今から来る雑魚連中で晴らしてくださいな」

「は?」

 その途中、巡回中の劉悒軍と遭遇し劉備軍はそのまま戦闘に突入した。

「おーおー、こいつぁいい。ちょーど消化不良だったから色々とムシャクシャしてたところだったんだよ。右眼のお礼じゃ覚悟しやがれテメェら!」

 片眼奪われた恨みと言わんばかりに龍二の顔は不敵に笑み単騎突撃し槍をぶん回して早速暴れ始めた。

「あーあー、やれやれ。猪の世話はメンドくさいなぁ」

 やれやれと嘆息しながら泰平らも後を追う。その顔は困ってなどいなかったが。

 それを見た劉備双壁の関羽・張飛が彼らに続くように敵陣に斬り込む。趙雲らがそれに続く。龍二らが特殊技で応戦する。

「あ゛~キリないわボケェ!」

「じゃかぁしいぞ蓮。んなこと言ってるヒマあんなら敵を片ずけんかい! さっきの勢いはどこいきやがった猪野郎!」

「耳元でギャーギャーうっせぇんだよバカ平」

「戦場で喧嘩しとる場合がバカ者共がっ!」

 口喧嘩をしながら敵を斬り払う二人の少年とそれをたしなめる青龍。その点、彼らは器用としか言いようがない。

「相変わらずスゲェなアイツら」

「翼徳、アレと比べちゃダメよ」

 次元の違いを分からせようと関羽は優しく諭し始める。その間も二人はバカな喧嘩を続けている。

 敵は数が少ないことをいいことにゲリラ戦を仕掛けてきて序々にこちらの数を減らしていく。

 龍二達は善戦するも、あっという間に囲まれてしまった。

「これ、前にもなかったか?」

 こんな時に、龍二は呑気にバカな発言をする。しっかり前の件を忘れていやがるようだ。

「───バカ」

 達子が顔を俯けて返す。その間にもジリ、ジリ、と敵は近付いてくるわけなので自然、三人は背中合わせになる。

「さて・・・・・・、どうする?」

「おいコラ待てや。こうなった原因を作った君がそれを言うか?」

「いや、今そんなことどうでもいいから。コレどうすんのよ」

 こうなっても彼らは全くの緊張感も欠片もない。敵兵士はナメられていると感じてもおかしくはない。

 その時、突如として森から飛来した一筋の矢が敵のある一人の側頭部を貫いた。続いて三筋。同じく敵の側頭部を貫く。

「ほえ?」

「ふあ?」

「はにゃ?」

 全くもってバカ丸出しと言うかド間抜けすぎる変な声で驚く三人を他所に、森から無数の矢が乱射され、敵を次々と射殺していく。

 謎の攻撃者に恐怖したのか、敵は一斉に矢の飛んできた方を見た。直後、そこから騎馬武者が飛び出してきた。

 武者は馬が宙を跳んでいる間に更に一人を射抜き、何と馬から翔んだ。

 降り立った武者を見て皆唖然とした。

 全身をマントで包み、頭をその余ったモノで覆っているその姿は、武者とは到底思うないのだが、彼らが何とか武者と思えたのは、着地際に一人を屠ったその二本の〝片刃剣〟を見たからであった。

「・・・・・・・・・」

 武者は無言で二刀に雷を纏わせ、そのまま数十人を葬った。

 あまりの強さに龍二らは茫然としていたが、敵はおよそ自分達の常識を超越した攻撃を行う者によって全く統率を失ってしまい、包囲は崩れ右往左往していた。

「あぁ! 鄭萍仁ていへいじん様っ」

 そんな混乱の中で敵は隊長を討たれたらしい。討たれたと知るや、敵兵士は我先に逃げ始めた。謎の武者は特に逃げている敵を追撃することなくただ黙って見送っていた。

「・・・・・・・・・」

 敵が皆いなくなると、謎の武者は彼らの方に振り向いた。敵では無さそうだが一応、彼らは警戒する。ただ、武者の剣技はどこかで見たような気がする。それに、あの雷技にも見覚えがあった。

「これしきの雑魚ごとき、貴方達だけでなんとかしなさいな。全く、たるんでますねぇ」

 イヤミたっぷりの皮肉。バカ丁寧に等しい言葉遣い。そして、あの剣技。彼らの頭の中に、以上のことが該当する人間は、たった一人しかいない。

「お久しぶりですね、皆さん」

 武者は頭を覆っているフードをとった。

「や───封徳!!」

 武者は紛れもない佐々木安徳であった。危うく彼の本名がでかかったが、龍二は何とか飲み込むことに成功した。

(あっぶねぇあっぶねぇ)

 三人は安徳の近くに寄る。

「よかった。生きてる」

「貴方があんな馬鹿なことをしなければこんなことにならずに済みましたがね」

「すいませんね猪突猛進の単細胞野郎で」

 自分のせいで安徳に重傷を負わせたことを後悔して、今彼が元気な姿で現れて安堵した龍二に対しても、安徳は容赦ない。

 龍二は話題を変えた。

「お前、今まで何してたんよ?」

 うんうんと頷く友人達に、安徳がかいつまんで話した。

白朱はくすさん───我々をこっちに連れてきた人の治療を受けて、そのついでに少々鍛えてもらってました。いや、充実してましたよ」

「ねぇ封徳。そういえば、さっきのアンタの剣技、何かいつものと違ってたわよ?」

 達子に指摘されると安徳はあぁと頷く。

「それはですね、菊さんに教わった剣術を実践したんですよ」

「キクさん?」

 安徳の右手に握られていた長光の刀身が突然輝き、直後、そこから人が現れた。

 現れたのは、大鎧、侍烏帽子の少年で、同い年に見えた。

「ちょっ、えっ!?」

 普段見慣れているはずの三人が珍しく困惑した。

 そんな彼らを安徳は落ち着かせる。

「政さんや為さんと同じですよ。普段は長光の中にいるんですよ」

と長光をつついて言う。

「この人が菊さんこと菊幢丸さん」

「よろしく」

(へぇ・・・・・・・・・)

 穏和そうに見えるが、その内には隠すような威圧感があるように思えた。そしてかなりの使い手であることも分かった。

「うん、よろしく菊さん」

 四人は固い握手を交わした。

「一旦本隊に合流しよう。話はそれからだ」

 泰平の提案に、彼らは深く頷いた。













 本陣に戻ってくると、劉備らが心配しながら出迎えた。

「ご心配をお掛けしました玄徳さん。劉封徳、只今戻りました」

「劉・・・・・・安くん?」

 安徳の生存は劉備軍の将兵を呼び込んだ。

「劉封徳将軍が黄泉帰ってきたぞー!」

(いや違うんだが・・・・・・まぁいいか)

 将兵が喜びの声をあげまくった。そして安徳に寄ってきて口々に話しかけてくる。

 そのどさくさに紛れて龍二は菊幢丸を劉備を紹介した。そこに、呉禁が菊幢丸に寄ってきて指で鎧をつついてみたり手などを触ってみたりと、他人なら明らかに不快感を抱かせる行為だったが、菊幢丸は不愉快どころか逆に笑顔で彼の頭を撫でた。呉禁はたちまち菊幢丸になついた。

「よし、行くぞ。今日で終わらせるぞ!」

 安徳の復帰で士気が大幅に上昇した劉備軍は、大将劉備の号令で綿竹を突き進んだ。













 綿竹を抜けると眼前に目的地成都城が広がっていた。そしてそこで待ち構えていた劉悒軍と激突した。遂に劉備軍と劉悒軍が雌雄を決するときが来たのだ。

「おらおら! 死にたい奴はかかってきやがれ!」

 殺る気に満ちた龍二が槍を巧みに操って敵の一角を突き崩す。

「おーいつにも増して蓮君が働くねぇ」

(傷の恨みがあるからとは言えないなぁ)

「殿。感心するのはいいですから、戦いに参加してくださいな」

「・・・・・・ココは何でこうも平和なんですかね?」

養父上ちちうえですから」

 のほほんとした本陣はさておき、戦いは激戦を極めた。

 両軍の兵士の屍山は所々に積み上がり、痩せ衰えた大地の肥料となり、赤き血は乾ききった大地を潤す。

 劉悒軍内にもそれなりの術者がいたが、その程度である。

 術者は泰平の前に成す術もなく散っていった。

「せいやっ!」

「はいっ!」

 龍二と達子の前に敵は屍を晒していく。

 隻眼の凄みと女のくせに馬鹿力を発揮してばったばった斬り倒していく達子に劉悒軍は恐怖した。

「俺は趙白龍。その身に刻め!」

「司馬尚姫。アンタ達の相手はあたし達が相手よ!」


















「盗賊、我が領土を奪いに来たか!」

 護衛に守られながら前に出てきた敵大将劉悒が怒鳴れば

「だまれ下郎! 領主を殺して国を乗っ取り、民を蔑ろにしておいて、よくそのようなことがぬけぬけと言えるな! 民を苦しめる愚者は私が成敗してくれる!」

 義憤に燃える劉備が吠える。

「おらおら、死にたい奴はかかってこい! 張益徳が相手だ!!」

 一方で猛将・張飛が猛虎の如く駆け回れば、関羽も縦横無尽に暴れまわる。

「玄徳さん。最初の仕事として、あそこで苦戦している黄忠軍を手助けしてきましょう」

「あ、うん。お願いするよ」

 馬を拝借した菊幢丸は黄忠軍の救援に向かう。

 菊幢丸は駆けつけると早々に数名を黄泉の国へと旅立たせてやった。

 突然現れた、見たこともない服装の男に驚きながらも敵と認識した彼らは健気に得物の切っ先を彼に向けていた。

 〝何百年振り〟の戦場に菊幢丸に流れる武士としての血がうずき騒ぎ始めた。

「フフフ。久々の戦場だ・・・・・・精々楽しませてくれよ!」

 菊幢丸は地を蹴った。

「さ、て。私も久々に暴れるとしましょうか」

 それに触発されたように、劉備の側に控えていた安徳も彼らを見ていて身体のうずきを止められなかったようだ。

「劉玄徳配下、劉封徳推参」

 龍二達の救援───乱入した安徳は早速自慢の剣術を惜し気もなく披露する。

 ある程度斬り込むと、彼は龍二と背中合わせになる。

「それで、貴方は何故右眼に眼帯をしているのです?」

 戦闘中にも関わらず、安徳は背中越しに訊いてきた。

「───ちょっとな」

 本当のことを言えば必ず貶されるに決まっている、とこれまでの経験から推測した龍二はあえて曖昧に答えた。

「なかなかお似合いですよ」

 安徳が珍しく誉めた。何だか気味が悪い。心なしか背中にとてつもなく強烈な寒気を伴う悪寒が走った。

 明日は雹か霰もしくは大雪大雨暴風が降るんじゃないかと思ったが、実はちょっと嬉しかった。

「んじゃ、さっさと終らせるか」

「そうしましょう」

 二人は深い深呼吸をしてから、群がる雑兵目掛けて突っ込んだ。










「彼らだけに活躍されるのも癪ですし・・・・・・そろそろですかね」

「ん? 何か言ったかい孔明」

「いえいえ。そろそろこの戦いに決着をつけようかと思いましてね」

 孔明が持っていた羽扇をあげると、ちょうど成都城を挟むように左右に広がっていた森から伏兵が出現し劉悒軍にぶつかった。

「張任参上!」

「荊州は魏文長推参!」

「それ者共! 亡き主君の仇をとれ!」

 主君の復讐に燃える旧劉璋軍は飢えた猛虎の如く戦場を蹂躙した。魏延や黄忠といった荊州軍も彼らには容赦なかった。

「総攻撃を開始する! 全軍突撃!」

「弓兵、弩弓隊は彼らの援護を、厳顔隊、馬超隊、孟達隊は苦戦している部隊の救援に向かってください。残りは全身全霊を持って劉悒軍を撃ち破りなさい」

 総大将劉備の大号令の横で、孔明も各部隊に的確に指示を送る。

 劉備軍の猛攻の前にいよいよ劣勢に立たされた劉悒軍は耐えきれず成都城正門前まで後退せざるを得なかった。

「張範張範! わしを助けよ」

 劉悒が最後の頼みと、城に残していた守備軍の将に叫ぶ。

 しかし、守将張範は何の返事も寄越さない。守備軍も彼と同じく沈黙を守った。

「張範!」

 苛立ちから来る怒号に対し、守備軍は弓兵が現れて数本の矢を主君目掛けて射た。

「何の真似だ、張範!」

「ふん。貴様が見た通りだ」

 城壁から張範がひょいと現れた。その手には弓が握られていた。

「民草を救うとして暗君劉璋を殺し、善政を敷くと思えば、民衆や我々をゴミのように扱う。そんな奴を、成都に入れるわけにはいかない。どこへでも去れっ! 外道」

「うぬ、貴様主君を裏切るか!」

 憤怒の表情を浮かべる劉悒は怒りに任せて叫んだ。

「まずはお前から血祭りにあげてやる!!」

 近くの者にあの城門をこじ開けるように命じたが、その前に門が開き始めた。

 開いた門の先に、一人の武人が仁王立ちしていた。

「こっから先へは行かせねぇぜ」

 そこにいたのは、劉悒軍一の猛将・呂明、字は匡黎きょうれいが自慢の大剣を構えて待ち構えていた。構わず突っ込む者達を彼は大剣の贄に捧げた。

「賊を始末しろ」

 呂明が劉悒に大剣を向けると、彼の後ろから守備軍が現れ、味方に攻撃を開始した。城壁からは弓兵が矢の雨を降らせる。

「悪行の報いを受けよ!」

 突貫してきた呂明は、狼狽している劉悒の首を一刀のもとに刎ねた。

「暗君は討たれた。全軍、降伏せよ!」

 守将張範がありったけの声で叫んだ。戸惑っている劉悒軍に同じように呂明が命じた。彼らの言葉に従い、劉悒軍は次々に武器を放棄する。

「攻撃を中止せよ!」

 攻撃の意志無しと見るや、劉備も全軍に命じた。関羽、張飛らも次々に攻撃中止を叫ぶ。

 城門から張範が出てきて呂明と共に劉備の前へやって来た。呂明の手には苦悶に歪む劉悒の首が握られている。

「劉悒が首を献じます。我ら、成り行きとはいえ劉悒の配下であり、奴の悪行を知りながら止めることができませんでした。兵士達に非はありません。代わりに我ら文官武官に罰を与えてください」

 劉備は張範以下の文官武官の者達を最下級の役職に降格させるだけの処分に止め、彼らを伴って成都に入った。

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