第40話 歯ブラシの呪い
私は某メーカーの電動歯ブラシを愛用している。それが使用中に止まるのだ。
最初はモーターの過熱防止等、安全装置が働いているのかと思った。だが季節を問わず毎回、同じ症状を示す。スイッチを入れてから一定の時間を経過すると数回、小刻みに停止する様に見える。気持ち悪い。
一年前、汚れたので同じ物を買った。理由は単三充電池が使えて本体も安いから。まさか二本目でもフリーズ、はないだろう。
甘かった。全く同じタイミング回転をやめる。その後は問題なく連続動作するのも一本目と変わらない。
「たまたま大河が不良ロットを貯め込んでいたのかな」
背筋に寒いものを感じつつ、そう自分を納得させた。
大晦日に壊れたので三本目を調達した。壊れたといっても電池蓋の防水機能が弱っただけだが。で、新しくなったことに気を良くして何も気に留めず磨き始めた。
ブーン、ブっ、ブっ、ブっ、ブーーーーーン。
こいつもか! 最早オカルトレベルの話ではない。鏡に誰か映っていないか確認すると直ぐに
「メーカー名」
「電動歯ブラシ」
「止まる」
で検索した。
一番上にメーカー公式の
「良くある質問(FAQ)」
が出た。
「メーカー推奨の歯磨き時間である二分をお知らせするタイマーが着いています」
唖然。
そういえば動かなくなるのは口に入れて二分後くらいかな。しかし、それならそうとパッケージと説明書、商品ページには大きく書いておくべきだろう。危うく都市伝説を創作して人に話すところだったぞ。
何はともあれ二年間に渡る呪縛から解放された。
今夜も、しっかりタイマーを作動させて寝よう。
おやすみなさい。
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