第37話 法務局へ行こう - 立つ鳥跡を濁さず

 「第21話 フレンドリー法務局」の続きである。


 土地家屋の相続、登記手続きを行ったのだが。結果から言うと。


 呆気ない、実に呆気ない。最初に赴いた時、説明に十分程度。二回目が登記申請で五分。そして完成した書類を受け取りに行っただけである。


 しかし、それは例の優しい方が対応してくださったからだ。


 法務局に縁など無い人間を柔和な表情で迎え、親切且つ丁寧、適切に短時間で指導する。申請時にも付き添い、端的に指示を行う。最後はお辞儀をしてにこやかに送り出す。


 素晴らしきフレンドリーさである。


 皆の衆、法務局は怖くない。それなりに準備していけば司法書士の手を煩わせずとも自ら手続き可能だ。


 ちなみに登記が終わると


「登記識別情報通知」


 なるキャッシュカードの暗証番号を長くしたようなものが記載された紙が出る。土地と家屋の分、二枚だけだ。昔のような登記証書、権利書等はない。その内この番号がマイナンバーに関連付けられ紙さえ不要となるのだろう。


 情報社会、不動産管理に至る、だ。


 何はともあれ、また一つ、事務が終わった。残るは、えっと。


 そう、人が亡くなると多くの処理が発生する。「処理」とは命に対して不適切な表現かも知れないが、残された者にとっては結構、荷が重いのだ。この辺り、未だ未だアナログで、繁雑に窓口に出向かねばならぬ。


 一部、役場、市役所に


「お悔やみコーナー」


 を設け、そこで出来るだけ済ませられるよう配慮している自治体もある。それでも管轄外となればどうにもならない。


 何れ情報管理社会になるのなら、マイナンバーの消去だけで、この世から消え去りたいと思うのは、私だけだろうか。


 そうなれば司法書士も仕事が。いや、触れないでおこう。

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