第17話 話にならない夢

先週のことである。

カクヨムを「読みオチ」して話にならない夢を見た。

話にならないとは取り上げるに足らないという意味ではない。

物語に出来ない夢だったのだ。

だが詳細に覚えているので内容を書いてみようと思う。


---- ここから夢 ----


私は都市の上空高くを飛んでいた。

何か道具の力を借りているのではなく。

自らの体のみで浮いているようだ。

眺めはとても良くふわりと風に乗り気分上々。

天使が存在するなら、こんな感じではないか、等と考える。


大きな駅が目に入った。

ゆっくりと落ちていき長いプラットホームの屋根へと舞い降りる。

誰にも気付かれぬよう、静かに端から端へと歩む。

そろりとホームへ下り、何食わぬ顔で人々に混ざり、階段を抜ける。

その時だ。

後からきつい声が刺さる。

「屋根は学校の中でも最も入ってはならぬ部分だ!」

教授だ。

聞こえぬふりをして校舎を出る。


校舎だが駅舎だ。

駅前の雑踏の中、女性記者が待っていた。

「先生、一ですか、それとも二ですか?」

「一です」

私はデザイナーらしい。

記者は続ける。

「栄町一といえば今の熊谷二ですね」

「違います、一階です」

答えている。

「一階を探すのは大変だったでしょう?」

「そうでもありませんでした」

事務所の話らしい。


次の瞬間、私はその事務所にいた。

昭和初期の木造二階建て住宅で大学のグラウンドに面している。

駅舎の学校ではない。

野球部員が沢山、汗を流している。


大正レトロな部屋で紅茶を頂いていると叔母がグラウンドに走っていった。

凛として背筋を伸ばしユニフォームを着用した彼女は八十半ばには見えない。

ボールをもらった叔母は百メートルは離れた相手にレーザービームを投げた。

嬉々としてキャッチボールは続く。

よく見ると部員達の濃紺のアンダーシャツとは違い、叔母はソックスまで臙脂だ。


突然、亡き父が斜め後ろから

「寂しい」


---- ここまで夢 ----


目が醒めた。

全く話にならない。

これだけ覚えているのに発展のさせようがない。

本来、夢とはこんなものか。


なんだか気になり。

夢とは実年齢が異なる叔母に電話をかけ、挨拶した朝だった。

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