性のめざめ 思春期物語
ある日のある夕方のこと、いつものように野菜を売り終わり草庵に帰る。
しばらくして、お風呂場に草葉が入っているのに気がついた。気がついたのはたまたまだった。
お湯のざあざあと流れる音が聞こえてきて何だろうってお風呂場に行ったら、草葉の服が畳んでおいてあった。草葉がお風呂に入っていたのだった。
無性に草葉の服の匂いがかぎたくなる。草葉ってどんな匂いがするんだろう。べとりとした感情。色で例えるなら原色の絵の具を塗りたくったようなそんな感じ。胸が苦しくなる。
少しならいいだろう。
草葉の服を手に取り匂いをかぐ。ふんわりといい匂いがした。下の方が変な感じになる。
右手で下腹部を抑えながら匂いをかぎまくる。
苦しい 苦しい
怖い 怖い なんだこの感情は?
うずくまって草葉の服の匂いをかいでいる。
怖い 怖い
もしかしたら自分は変な人間になってしまったのだろうか?
なんだこの感情は。この高鳴る心臓の音。
草葉の服の胸のあたりの裏側をさわる。まだ生暖かい。
気がつくと必死にそのあたりを撫でていた。くちびるをあてる。鼻を大きく広げ匂いを吸いこむ。
心臓が痛い。自分はもっと清い人間じゃないのか?
自分が情けない。でもこの服の香をずっと抱きしめていたい。
自分が分からない。
分からないんだ。自分って何。変態なの?
苦しいよ。苦しいよ。苦しいよ。
ずっと服の香を嗅いでうずくまっていた。
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