第2話 異世界からの歓ゲイ
-翌日-
日差しを浴びて、俺は目を覚ました。
俺が起きたのは、ふかふかのベッドの上だった。
もしかして、全て夢だったのかと思ったが、そこは見知らぬ部屋だった。
部屋に置いてある物も、現代の物とはかけ離れていて、やっぱり俺は異世界に来てしまったんだということを思い知らされる。
昨日は、どうやら宴の途中で眠ってしまったらしい。
多分、そんな俺を見かねて、村の誰かが部屋を貸してくれたんだろう。
後で、しっかりお礼を伝えなくてはいけない。
では、起き上がろうかとベッドに手をついたところ、何やら堅いものに手が触れた。
「なんだ?」
不思議に思い、隣を見るとそこには、毛深いおっさんが気持ちよさそうに眠っていた。
……。
数分間、俺の脳は停止していた。
色んな情報が入ってきすぎて、処理が追い付かったのだ。
この男誰だ?
もしかして、家の家主なのか?
いや、けれど、なんで俺の隣で寝ている?
そして、なぜ上半身全裸なんだ?
分からないことだらけだったが、すぐに考えることを止めた。
これ以上、深く考えすぎると俺は、何かを失ってしまいそうな気がしたのだ。
とりあえず、俺は何も見なかったことにした。
全部、忘れよう。
家から出ると、村人から挨拶された。
そして、村長を呼びに行くからと待っていてほしいと言われた。
しばらく待つと、村長が来て、家へと案内された。
村長の家は、他の村人の家よりも大きく、立地も良さそうに見えた。
中に入ると、ご馳走が用意されており、朝食をどうぞと勧められた。
俺は、遠慮なく朝食をいただきながら、この世界についての情報を村長から聞いていた。
村長の話によると、この村の名は『モルド』というらしい。
そして、モルドにはずっと語り継がれてきた1つの言い伝えがあった。
それが、『100年に1度現れる勇者が、魔王を退治し、世界に安寧をもたらす』というものだった。
今がその100年目の時期ということで、みなが俺のことを、その勇者だと思ったそうだ。
ついでに、村に置かれている勇者の銅像とも顔が似ていると言われた。
なので、あとでその銅像を見に行ってみたが、その勇者の銅像は、モヒカンヘアをしていた。
「いや、俺、モヒカンじゃないけど!」
この周辺にはモルドのような村がたくさんあるそうだが、近くに『ハウラス』という冒険者の町があるそうだ。
なんでも、冒険者ギルドがあるそうで、モルドのような小さな村から、冒険者を目指す若者たちが集う場所なんだとか。
町の大きさは、モルドの数十倍もあるらしく、交易も盛んなそうだ。
俺に魔王を倒せる力があるのかは分からないが、とりあえずハウラスの町に行ってみることにした。
その旨を村長に伝えると、丁寧に冒険の身支度を整えてくれた。
そして、ハウラスまでの案内人を乗せた馬車まで手配してくれた。
俺は、村人たちからの歓声を受けながら、モルドを出発した。
村人はみな優しく、居心地の良い場所であったが、俺はもっと異世界を知りたかった。
誰が俺を何の目的で召喚したのか。
それを知るためにも、外へ旅立たなくてはいけない。
それに俺は、浮足立ってもいた。
なんたって、これが俺の異世界での冒険の第一歩になるのだからだ。
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