新しい友達
翌朝
女子兎高等学校の入学式当日
春の快晴と岩手山の秀麗な光景が女子兎高等学校の歴史の第一歩を祝福していた。
白兎寮
青バラ部屋
AM6:00
-〜♪
起床を促すクラシック音楽が流れると、雫石牧、赤渕月、春木場望の3人はそれぞれのベッドから目を覚まして起き出す。
「おはようございます〜」
「ああ…おはよう…」
「昨日のお風呂と夕食のおかげでぐっすり眠れたわねー」
3人は「んんー」と背伸びを始めていると、
-コンコン
「はい?」
「おはようございます。寮監の玉川です。点呼を取りに来ました」
「青バラ部屋、3年春木場望です」
「同じく2年赤渕月です」
「同じく1年の雫石牧です」
「よろしい。今日の入学式には遅れないように!では」
「はい!よろしくお願いします!」
寮監、玉川蓮による朝の点呼が始まった。
その後も蓮は各部屋を点呼して回った。
「ふぅ…びっくりした…」
「でも点呼が終わった部屋から順に食堂に行けるみたいよ」
「だから顔を洗って歯を磨いて身嗜みを整えなくちゃ」
「そうですね!あわわ…!」
青バラ部屋の3人は共有スペースである洗面台に並んで顔を洗い、歯を磨き髪を溶かして整え、そのまま食堂に直行した。
食堂の朝食メニューはスクランブルエッグにベーコン、ウインナーにサラダ、トースト、ヨーグルトにコーヒーか紅茶だった。
3人は早めに来た事もあり、ゆっくりと朝食を食べて入学式の日のエネルギーをチャージした。
「ごちそうさまでした」
「食べた〜」
「さて、着替えましょうか」
食べ終わった3人は青バラ部屋に戻るとホワイトボアの寮内着を脱いで下着姿になり、昨日
AM8:30
ロビーに集まった私服姿の白兎寮生が次々と玄関ホールから数メートル離れた本校舎まで寮監玉川蓮を始め、蓮と同じく黒い燕尾ジャケットを羽織った黄金色のバニーガール姿の美人教師が誘導する。
(先生まで美人バニーガールなんてバニーガールの育成校は本物だ〜)
「1年生の教室はこちらでーす!」
牧がバニーガール教師達に見惚れながらも誘導に従って1年生の教室に向かう。
本校舎1階
1年月組教室
「ここが1年生の教室かぁ」
牧も前の人に続いて教室に入ると席順が決められた紙が貼られてあった。
「えーっと私の席は…右…通路側…んん?隣は…道那ちゃん!?」
席と席は離れているとはいえ、牧の席は昨日寮の大浴場で再開した小学校の同級生、平館道那と隣だった。
牧は指定された席に向かうと、詰襟ブレザーの道那が手を振って待っていた。
「牧ちゃん!おはよう!」
「道那ちゃん!おはよう!席でも隣り合わせになれてよかったね!」
「うん!牧ちゃんのセーラー服ってひょっとして雫石町の中学の?」
「んだよ!道那ちゃんの制服も変わっているなはん?盛岡の中学校?」
「うん、私が入学した年に変わったの。私達が新制服第一号生だから思い入れがあって、つい着て来ちゃった!」
「中学の制服に思い入れがあって高校の寮まで持ってくるのはお互い同じだね」
「でもこれからは、あの時の小さい頃、2人で約束したカッコいいバニーガール夢を果たす為の制服を着ることとなるから」
「はっ!」
牧が机を見ると、机の上には女子兎高等学校の制服となる指定メーカー製の黒いバニースーツ一式と黒い長袖燕尾ジャケット、切り替えなしのオールスルーのストッキングとバックシーム付き網タイツに黒いハイヒールが一揃い置いてあった。
「す…すごい!本物のバニースーツだ!本物を見るの初めて!」
「私も初めて見たよ!」
「やっぱり君も!?」
興奮する牧と道那の会話に割って入ったのは、牧の後ろの席に座っていた金髪セミロングをポニーテールにまとめた快活な女の子だった。
「あ、ごめんなさい!割り込んじゃって…私、菜の花部屋の
「青バラ部屋の雫石牧です。前後の席同士よろしくお願いします」
「ユーカリ部屋の平館道那です。近くの席同士よろしくお願いします」
「同じ1年生なんだしそう固くならなくていいよ!タメ口で話そ!牧ちゃんに道那ちゃん!?」
「う…うん、糸乃ちゃん!」
(この子グイグイ来るなぁ…)
大釜糸乃と名乗る少女は自己紹介をしつつも牧と道那の緊張を解そうとした。
「あの…前の席になった、
牧の前の席になった滝沢兎と名乗る、赤みのかかったふんわりとした茶髪の内カールミディアムヘアで小柄な子が牧に挨拶にしてきた。
「こちらこそよろしくお願いします。私は青バラ部屋の雫石牧です」
「牧ちゃんの隣の席で小学校の同級生だった、ユーカリ部屋の平館道那です」
「よ…よろしくお願いします…」
「私は菜の花部屋の大釜糸乃!同じ1年なんだからそんなに引かないでタメでいこうよ、兎ちゃん!」
「はい!いいえ…うん!ありがとう、そしてよろしく!糸乃ちゃん!道那ちゃん!牧ちゃん!」
糸乃が引っ込み思案な兎の警戒心を解いて会話グループの中に入れてしまった。
「こちらこそよろしくね!」
「両親が立派なバニーガールに育つようにって兎って名付けてくれたから、名前負けしないようにしなきゃ!」
「私達も応援するから!」
(入学式が始まる前にかつての友達に加えて賑やかな友達が出来ました)
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