第22話 光史君の結婚が決まった。

 光史君の結婚が決まった。

 相手は、『銃弾に散った悲劇のボーカリスト』って言われた…Faceのボーカル丹野 廉さんの一人娘。


 それに続いて…陸ちゃんが、なんと…知花の妹の麗ちゃんと。

 お見合いの席に乗り込んで奪ったっていう、ドラマみたいな展開。


 そして、知花を好きで悩んでた聖子も…F'sのドラマー浅香さんと。

 サクちゃんが言ってた、聖子がお姫様になるって、この事だったのかな?



 幸せな事って続くんだね~。って。

 長男が生まれて幸せいっぱいなセン君と安心した。


 幸せいっぱいのメンバー達に囲まれて浮かれてたけど…気が付いたら僕だけが独身。

 …って、まだ23だし、全然結婚願望ないんだよね~…って思ってた僕も…

 さすがに、幸せを目の当たりにし過ぎて…

 うん…結婚かあ…いいなあ…なんて思い始めた。



 僕の相手は…光史君の妹の、鈴亜。

 あの日…

 陸ちゃんとセン君の誕生日会の打ち合わせの帰り道。

 偶然会った鈴亜と…お互い一目惚れみたいな感覚になった。


 小さな頃から、その存在は知ってたけど。


 鈴亜は本当に可愛くて、ハッキリ言って、これが僕の初めての恋愛だと言っていいと思った。


 それまで付き合ったと思われる彼女に対して、すごく申し訳ないけど…

 ここまで自分から本気で好きだと思った相手はいない。



 話すと長くなるから、僕と鈴亜の結婚までのあれこれは、16thと37thを読み返してもらうとして…



 結婚して、6人の子供に恵まれた。

 内訳は…女四人、男二人。


 女の子が欲しいって言ってた母さんには、すごく喜ばれたし、最初は結婚に大反対してた朝霧さんにも、すごく可愛がってもらえてる。


 長女の佳苗はビートランド所属の女優としてデビューし、後に…冗談で許嫁って言ったはずの浅香 彰君と結婚。

 結婚と共に、順調だった女優業も引退。

 僕は、思いがけず聖子と親戚になってしまった。


 佳苗は女の子と男の子を出産して、僕は47歳にしておじいちゃんに。


 佳苗の下の三つ子…亜希・紗希・真希はー…自分達の夢の道に進むべく、必死で勉強中。

 叶うといいな。


 そして、末っ子の双子…いさむちからは、桜花の高等部二年。

 島沢家始まって以来の…運動神経を持つ二人は。

 今、日本中を賑わしてくれてる。



 僕ら…SHE'S-HE'Sは…

 11月末から少し長いオフが出来て、夫婦で旅行をした。

 だけど、偶然…みんなアメリカでバッタリ。

 やっぱり僕ら、運命共同体だねって笑った。



 春にはメディアに出る。

 そう決まってたけど…色んな事情で、フェス開催が夏になる。





 今思えば、それで良かったのかも。





 それまでに…



 僕も…



「…た。あなた。」


「……」


「まこちゃん。」


 僕を呼ぶ声が聞こえて…うっすら目を開ける。


「……呼んだ?」


「呼んだ。何かぶつぶつ言ってたから、起きてるのかと思ったのに…寝てたの?」


 鈴亜が、クスクス笑いながら僕の手から落ちかけてたスマホを取った。


「…ぶつぶつ言ってた?」


「言ってた。寝言かしら。」


「…夢…見てたのかな…」


「いい夢?」


 鈴亜は椅子を引っ張って来て座ると、ベッドの脇に両腕をついて僕の顔を覗き込んだ。


 いい夢…だったのかな…



「…鈴亜。」


「ん?」


「聞いて…いいかな。」


「なあに?」


「僕と…聖子と知花が仲良しなの…嫌だなって思った事…あった?」


 少しだけ顔を鈴亜に向けて…問いかけると。


「……」


 鈴亜はキョトンとした後…


「…あたし…実はすごくヤキモチ焼きだって思うんだけど…」


「……」


「あの二人には、妬いた事ない。」


「…本心?」


「うん。なんて言うのかな…まこちゃんと聖子さんと知花さんて、見てて微笑ましくなるの。」


「……」


「SHE'S-HE'Sのメンバーって、それでなくても仲いいけど…三人は同級生って事もあるからかな…性別を超えた何かを感じるって言うか…」


「……」


「うまく言えないけど、まこちゃんの大事な人たちだ。って、あたし…自分でも知らない間に自覚出来てたと思う。」


「…鈴亜…」


「…ん?」


 右手を伸ばして、鈴亜の頬に触れる。


「…僕の事…理解してくれて…ありがとう…」


「…何言ってるの。まだ、これからずーっと…あたし、まこちゃんの事理解し続けるから。」


「…これ以上の僕を…知ろうとしてくれるの?」


「まこちゃんは、自分で思うより奥深いのよ?」


「……」


「大丈夫。絶対あの場所に戻れる。まこちゃんは…鍵盤を弾いてなきゃいけない人だから。」


 そう言った鈴亜の目は…優しくて…強くて…

 昔、すぐ泣いてた鈴亜とは思えないほど。



「…噂をすれば…だな。」


 僕がそう言うと。

 鈴亜は『え?』って首を傾げた。

 それと同時に…ノックが聞こえて。


「まこちゃん、来たよー。」


「鈴亜ちゃん、こんにちは。」


 聖子と知花が入って来た。


「あっ、今噂してたの…まこちゃん、どうして分かったの?二人が来たって。」


「足音…聞こえたから。」


「はー、やだやだ。足音まで知られちゃってるなんて。」


「って言うか、まこちゃん、耳の良さは相変わらずね。」


「…知花が言うかな…」


 笑顔の二人を見て…昔を思い出した。


 いつも…二人は僕を真ん中にして、腕を組んで。


『まこちゃんの奢りね』


 笑顔で…



「そう言えば、これ。最新の麻里子まりこ晴季はるき。」


 聖子がスマホを開いて見せてくれたのは…僕にとっても聖子にとっても孫の、麻里子と晴季。


「…昨日来てくれたよ。」


「あたしは今朝会って来たから、これが最新。」


 変なとこで張り合うんだからなあ…もう…なんて…

 ちょっとおかしくなった。



「まこちゃん。」


「…ん?」


「待ってるから。」


「……」


 知花がそう言って、僕の右手を握った。

 すると…聖子も同じように、その上から…手を重ねた。

 …鈴亜は…涙を我慢してるのか…窓際に立って、外を見てる。



 昨日は…セン君と陸ちゃんが。

 今朝は…光史君も来て…瞳さんも、来てくれて。


 みんな、そう言ってくれた。



「あたしら、運命共同体だから。」


「本当に。あたしも、そう思ってるから。」


「…うん。僕も。」




 うん…待ってて…

 みんな。



 僕の事…


 待ってて。




 僕は…



 あの場所に、絶対…



 …絶対、戻るから…。





 46th 完


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 ほんわかしてたのに‼︎

 なんじゃこの終わり方(・ω・;)


 詳細は、いつかのお話で!!

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いつか出逢ったあなた 46th ヒカリ @gogohikari

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