第20話 知花が神さんと復縁。

 知花が神さんと復縁。

 神さんは桐生院家の婿養子になった。


 一度めの時も式を挙げてないから…って。

 翌年の神さんの誕生日に、二人は結婚式を挙げた。



 知花と神さんの復縁を、心から祝福するも…少し落ち込み気味に見えた聖子と光史君と陸ちゃん。

 そんな三人も、何だかソワソワと忙しそうな毎日を送るようになって来た。


 あれ?今日は飲みに行かないのかな?とか…

 あれ?何か気になる事でもあるのかな?とか…


 それが何かって特定は出来ないけど、とにかく異性絡みの何か。って気が…三人からプンプンして来た。



 僕はと言うと…


 アメリカではほどほどに女の子と遊んでたけど。

 帰国して最初の一年はバンドの事に必死で、女の子の事なんて視界にも入らなかった。


 が。


 去年、事務所の近くにあるコーヒーショップの店員さんに声をかけられた。

 好きって言われたけど、分からないって答えると。

 好きになって欲しいから、自分を知る意味も含めて付き合って欲しいって言われて…付き合った。


 気持ちがついて行くより先に、押し倒されてー…

 身体の相性は、すごく良かった。

 だからなのかな…

 何となく、好きになって来た気がした。


 ただ、音楽の好きな子で…色んなバンドの批評をするのが好きになれなかった。

 批評したっていいんだけど…

 自分がそういう仕事をしてるせいか、あまり細かく分析して『だから嫌い』って言われると…

 作り手の気持ちに近くなってしまって、へこむこともあった。


 まあ…

 自分の職業を明かしてなかった僕も悪いけど。



 そのうち、彼女には他に好きな男が出来て…

 わりと、こっぴどくふられた。


『まこちゃん、奥手すぎる』から始まって…

『男らしくない』『自分より女子力高い男なんて嫌』『いつも暇そう』『何も考えてなさそう』などなど…


 極めつけは…


『まこちゃんって、本当につまんない。中身空っぽ』


「……」


 あれを言われた時は…思考回路がゼロになったなあ…


 僕なりに好きになろうとしてたけど…

 音楽批評に続いて、僕まで批評されて。

 それがまた…あながち間違いではなさそうだったのが…痛かった。



 もう、しばらく恋人は要らない。

 そう思ってた僕は…

 隙だらけだったのか…


「まこちゃん、お姉さんといい事しようよ♡」


 事務所の広報の女の人に、そう言って押し倒されたり…(その後その人は寿退社)


「まこちゃん、今夜暇ならお姉さんと飲みに行かない?」


 受付の女の人に強引に腕を引かれて…(その人もその後寿退社)


「まこちゃん、お姉さんが美味しいお肉食べに連れてってあ♡げ♡る♡」


 経理の女の人に悩ましく誘われて…(まさかのその人も寿退社)


 …どうやら僕は…

 マリッジブルーの女の人達に…

 いいように…



 …って。


 僕もいい思いをさせてもらったんだから、いいんだ!!って言い聞かせたけど。




 …本気で、もう…

 女の人、怖い。



 そう思った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る