第8話 総合病院
近くにある大きな総合病院に入ってみた。
生存者が残っているかと期待していたがすぐに打ち砕かれた。
患者もナースも全員完全にゾンビ化している様相。
考えてみればゾンビ騒動で噛まれた人はまず病院に行く。
そこで発症してゾンビになり周りの人を噛んでいくのだ。
噛まれた人がエレベーターで上階へ逃げればそこで発症して周りを噛んでしまう。
病院には動けず逃げられない入院患者もいるから確実に感染は広がる。
俺は薬や食料の備蓄が残っていないかガラスの割れた院内を探した。
なんだあのナースゾンビは状態の良い美人ナースゾンビの胸でももんでやろうと背後から近づいて触ってみたが固すぎてショック、死後硬直かコレ、胸カチカチならマネキン触っているのと変わりはないし俺はそういう趣味は無いしマネキンならデパートにいくつもあるだろうからありがたみが無いし灰色の怖い顔のナースゾンビの胸をもむ理由も無いし女ゾンビは見ているだけに限る。
最近は女を見ていないことに気づいた。
ゾンビ女はたくさん歩いているが人間の女は歩いていない。
それはそうだろう、街はゾンビだらけで歩けば5分でガブリと襲われる。
いや、そもそも人間の男も見ていない。
道路を自家用車で逃げている者も最近は見かけない。
この前のように自宅で籠城している者はまだいるかもしれないが。
それも時間の問題だろう。
食糧調達せず全く家から出ずに一か月も二カ月も過ごせるものではない。
そんな心配をしていたら俺のゾンビスーツがズリ落ちてきた。
手で上げようとゾンビ皮のウェストをつかむと、そこもビリビリと破れた。
ゾンビズボンがグズグズに破れてストンと落ちた。
ゾンビ上着の縫い合わせが破れて胸部分から俺の頭がズボッと出た。
マズイ。
ゾンビ皮が弱ってきている。
病院の玄関口にいる患者ゾンビ達が一斉に俺をジロッと見た。
「お前、人間じゃね?」という感じを出して近づいてくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます