卑怯な奴ら
さて連日記録を更新していた猛暑日の終わりが見えない九月一日。
今日からまた新学期が始まるという、まさにその日。
サルが凛にこう言って来た。
「お前、いじめられてるの気付かないとかマジうぜぇんだけど」
しょんぼり学校から帰って来た凛の、開口一番に出た言葉がこれだった。
「ママ、凛クラスのみんなにいじめられてるのに、気付かなくてうざいって言われた」
「誰に言われたの?」
「サル」
あ~何かその言葉ひとつで全ての謎が解けたわ。笑止。
凛、それはいじめてる奴が自分のやっている事の発覚を恐れた、空っぽの脳みそで必死に姿を隠してるだけなんだよ。クラスという森の中に一本の木を潜ませた、それがサルの必勝法だったんだろうね。甘いなぁ甘い。
そんな幼稚な嘘に惑わされると思ったのかな、どこまでもクズな男だねサルは。そして素知らぬ顔して親友という仮面の裏で糸を引いている香織、あなたもやっぱりクズね。類は友を呼ぶ、ってところかしら。
凛が自分の思い通りにならなかった腹いせに、凛を孤立させたかったのかな?そんな事しか考えてないから返り討ちに遭うんだよ。
いい加減うんざりしてきた。
もうパパという爆弾投下しちゃってよくないですか?
いっそ綺麗に木端微塵に粉砕しちゃった方が私の精神上すっきりするんだけどな。でも凛の気持ちがまだ右往左往している。はぁ、困った。
卑怯者がどういう末路を辿るのか、凛には見せたかった。この世の中、強者と弱者に分かれる。そしていつだって弱者は搾取される側になる。だからこそ凛には強くなって欲しかった。だってパパと私の娘なのだから強者のDNAは持って生まれた筈だもの。
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