サル
香織と裏で繋がっていた男子がいた。
名前?サル、でいいんじゃないかな。だってサル並みの知能だったし。
香織の何かしらの魂胆で、サルは凛に近づいてきた。
しかも凛がサルを好きだという設定を、ご丁寧にでっち上げて。
香織は一部の生徒から《男好き》と言われていた。
なのに香織には、出来すぎたもったいない彼氏が存在する。
これは、この世の七不思議に数えてもいいくらいだ。
そんな彼氏がいるにも関わらず、他の男子を平気で自分の家に入れてしまう愚か者、それが男好きの香織の正体だ。
何人の男子と関係を持ってるのか、分かりゃしない。恐らくサルとも関係してるのではないだろうか。
その香織が凛を巻き込んで騒ぎ、サルを使って凛を汚したかったのか、単純に考えれば自分と同じで、男から誘われれば堕ちる、とでも思ったのか。
とにかく、香織のものさしで躍らせた感は否めない。
このサルがまた曲者で、夏休みの間中うちに来ては、あわよくば凛を押し倒して目的を果たそうとしていた。
が、そんな下心、凛には無理でも私には通らない。
凛に何かしようとしたらぶん殴ってやろうと心決めていた。
だいたいこのサル、うちに呼んだ覚えもないのに毎日飽きもせずせっせとチャリをこいではるばる来てたっけ。お疲れ様。
そして、絶対にあいさつしない。一体どんな教育されてきたんですか?
他人の家にあがる時は「お邪魔します」じゃないの?ほんと、信じられない。
そういや母親に「腹減った」って言うと「あぁ?」って言われて菓子パン投げつけられるって言ってた。素晴らしい教育方針。でもうちには合わないかな、そのヤンキー教育は。
やれやれ夏休みに目的を果たせなかったサルは、新学期が始まると人格が変わっていたらしい。
凛のイジメがスタートしたのだ。
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