真実は小説より奇なり

 凛はというと、ここのところ元気がない。


学校の時間になると、お腹や頭が痛くなるのだ。


登校拒否。


母である私は当然凛の様子を見ていれば、学校で何かが起きていることを想像するのはたやすい事だった。


なので、凛が学校に行かないことに対して何も言わなかった。


でも、あくまでそれは私だけ、であった。


 


 パパがキレた。


凛が不登校になった理由も聞かず、無理やり登校させた。


そして泣き顔で帰って来る凛を、いつも見るのは私だった。


家族の中にいても、何も話さなくなってゆく凛。


まるで、言葉を忘れてしまったようだった。




 この頃学校で凛をイジメていたのは、一軍女子ではなくて、なんと凛が唯一友達と呼んでいた香織だった。


私は凛がイジメられてると聞いた時、香織とルイちゃんふたりからLINEで話しを聞いた。


ルイちゃんの話しは簡単だった。気付かなくてすみません、とまで言ってくれた。


が、香織の方は話しに筋は通らない、言った事も二転三転するので、一体この子は何を必死に取り繕ってるのだろう?そう思った。


そして一番簡単な答え、つまり香織がイジメの首謀者だった。




 凛が香織のことをもっと早く諦めてくれれば、吊し上げてやれたのに。


それが、残念。


それにしても今は本当にスクールカーストなんてものが存在するなんて、ドラマの話しだと思ってた。


だって、私の中学時代にそんなものは存在しなかったから。


で?だれが決めるんですか?それ?一軍?二軍?は?なんですかそれ?




 けれど香織も別に一軍に属して教室を支配していたわけじゃない。


どちらかというと、三軍落ち?程度の子だし。


それがどうして凛をイジメたのかは聞いてなかったな。


自分より下に見た子をイジメるのかな?


だとしたら、次にイジメの対象になるのは、香織、お前だ。




 中学校という密室では、親は外部の人間に他ならない。


その密室で、一体なにがあるのかを、知る術はない。


教師が、一番知っているはずの教師までもが支配されていたとしたら、イジメからわが子を救ってやれるのはもう、親しかいないのだ。


どうすればいい?


無論、学校という密室に入れなければいい。


ただそれだけの事。


学校に行かなくても死にはしない。


でも、イジメという蜘蛛の糸に絡め取られてしまったら、そこから逃げ出すのには、屋上から飛び降りるしか、道はないのだろうか。




 自分の子供を守れるのは、自分しかいないという事を忘れないで欲しい。






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