第4話
母さんの荷物を取りに家に戻ろうとすると、1人の少女が立っている。
「あなたにも見えるのね?あの虫が!」
少女は強気に言う。
「君は誰だ?」
「私は木下ゆいな。話があるの」
強引に連れていかれた先は病院の外だった。
「木下さん、何か知ってるの?」
「私にも実は見えるの。病人につくあの虫が!」
「君の場合は病人限定なのかな?」
「えぇ」
僕とは違う。僕の場合は事故や自殺する人にも見えることを言うと、木下は下を向く。
「私がこの事を病院で言ったら、統合失調症っていう病名がついてしまったの。誰も信じてくれない!治療していっても見えるものは見えるの」
木下ゆいなは、病人扱いされたのか。
でも、僕にどうしろと言うんだろう。
「私の母に虫がついてるの、見てほしい」
「色は?」
「色?色なんてあるの?」
木下ゆいなは問いかける。
「とりあえず、君のお母さんに会おう」
僕が見た方が早いのかもしれない。
木下ゆいなの母親を見たとき絶句した。
灰色・・・。
これは見たことないが、今治療中なんだろうか?どうなんだろう?
「ゆいな!どこに行ってたの?探したわよ・・・その方は?」
「病院で仲良くなったの。えっと・・・」
僕は自己紹介する。
ゆいなの母親はゆいなの看病をしていると言う。
「最近、調子悪いところとかないですか?」
僕は問いかける。
「ちょっと疲れが出てきてて、この間も倒れたのよ」
だったら話は早い。
「じゃあ、検査してください。僕は医者になるために勉強をしている最中ですが、あなたの顔色でわかります。」
「ゆいなの看病でね、それもできないのよ」
「いえ、ゆいなさんの看病は僕が手伝うのでお願いします」
頭を下げる。
「じゃあ、今から内科に行ってみるわね」
ゆいなの母親は笑って病室を出る。
「お母さんの虫は何色だったの?」
「灰色・・・病気が悪化してるかもしれない。覚悟した方がいい」
「うそ・・・」
ゆいなは涙を浮かべている。
助かるといいんだが・・・。
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