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この小さな部屋以外に、逃れる場所なんてない。
それに、逃れたところでどうなるというのか。
僕は、たった一人だ。
家族を作り、増やしていく望みも絶たれた。
この先ずっと一人で生きていくしかない。
立ち上がったら、よろめいた。
岩壁に手をついて、身体を支えながら外へ向かう。
――どうせ死ぬのなら、最後に一度だけ、叶うはずのなかった夢を叶えたい。
今は、夜。
太陽はないけれど、光に弱い僕の目は、月さえ直視できない。
だけど――。
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