嗅覚も鈍ってきたようで、隣で腐っている彼女の臭いは気にならなくなってきた。



――お腹が空いた。喉もかわいて張り付きそうだ。



彼女の死の臭いに誘われてやってきた虫をつまんで食べたけど、とてもじゃないけど僕の渇きと空腹を満たせるようなものではない。




ここに逃れていくつの夜を越えただろう。



指先に、力が入らなくなってきた。



動こうとしたら、足が震えた。




ここで飢えて死ぬか。



外に出て、あいつらに殺されるか。






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