神の方程式
@hikq2294
神への反発者達
命は平等。本当にそうか?そんなの綺麗事じゃないか?だって、蚊やハエは普通に殺すだろ?その時に
「命は平等だからやめなよ!」
なーんて言ってる人がいたらどう思う?頭のおかしい奴だなって、大半の人は思うだろ?まぁ、虫の命だしねーって、そんな風に軽く流すだろう。
じゃあ、人なら?殺されて当然だなって人って、けっこういない?
【出会い】
痛い、痛い、痛い、いたい、イタイ。
もうやめてよ。そんな声は届かない。殴り、蹴り。今日は刃物までセットだ。もう、嫌だ。生きるって何だろう?生きてるって何だろ?
もし、これが生きるって事なら、それなら。
高校2年の夏、僕は死ぬはずだった。
屋上から飛び降りた。確実に死ねる高さだった。だけど、僕は生きていた。死ぬどころか無傷だった。
まるで、死ぬという運命を書き換えられたような、捻じ曲げられたような、そんな意味の分からない感覚。
呆然としている僕の耳に明るい女性の声が響いてくる。
「よかった!間に合った!死ななくてよかったよ!いやホントに....」
喋り続けるその女性に対して、まず僕が思ったのは、
「あの、誰ですか...?」
数秒の間の後、彼女はやってしまったという顔で
「ゴメン、ゴメン。私は大空 日廻(おおぞら ひまわり)。君は大林 彩(おおばやし あや)くんだよね?よろしく!」
いくつもの疑問と違和感が頭の中を支配していく。そして、すぐに爆発した。
「あの、何で名前を知ってるんですか?死ななくて良かったって、僕が死ぬのを知ってたんですか?もしかして、あなたが何かしたんですか?なんで...」
「落ち着けよ、時間が無いんだ。」
後ろから突然、男の声がした。一気に我に返る。今の声は誰だ?
そんな疑問を考える暇も与えてはくれずに、
「お前は死にたいのか?そんな運命でいいのか?俺達と共にこの世界を、運命を変えてみないか?」
いつの間にか目の前に来ていた。全く理解の出来ない話だった。だが、僕は惹かれていた。宗教か何かだろうか?そんな疑問すらどうでも良くなる。その男の声を聞くたびに、思考が固定されていくようだった。
「もし、この腐った世界と誰かに決められた運命を変える意思があるなら........」
男の目がこちらを睨む。
「俺達と共に来い。お前にはその素質と権利がある。」
そう言って、その男は振り向き、歩きだした。日廻も後を着いていく。
僕は無意識のうちにその背中を追っていた。もしかしたら、自分を、自分の人生を変えられるかもしれない。そんな期待をしていたのかもしれない。
この先に待っているのは他人の運命すらも捻じ曲げてしまうような、そんな力だとは知らずに。
神の方程式 @hikq2294
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。神の方程式の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます