第5話殺された少女の為に犯人を追え!(後半)
「連続殺人? 被害者の共通点は?」
「被害者の共通点は若い女の子で……って、それを聞いてどうするのさ?」
「……あのなあ、よく考えて見ろ。お前がその女の子の幽霊を見るようになったのは昨日、遺体を見てからなんだろ? お前がその女の子に怨まれるようなことをしていないのなら、原因はひとつだろうが」
「なに?」
刑事とは思えない凡庸な木下に日下部は軽く頭を押さえながら、答えを言う。
「その女の子はこの世に未練を残している。だから、お前の前にでてきていると思うのが自然だ。つまり、自分を殺した犯人をみつけてほしい、ってことだろう」
「…………っ」
はっとした顔で日下部を見ると、木下は視線をおとして佐藤里奈の生前の写真をみつめる。
「そのとおりなの?」
写真を見ながら、自問自答するようにつぶやくと、窓も開けていないのに風が吹いた。
「あっ……ああ!」
「?」
ふと、視線をあげた木下の表情がおびえたものになったのを不思議に思った、日下部は、自分の後ろを振り返るが、そこに誰もいなかった。
しかし、木下には、少女の幽霊が日下部の後ろに立っているのが見えていた。
「君は、俺に犯人を捕まえてほしくて、俺にとり憑いているのかい?」
少女は話しをすることができないのか、黙ってうなずく。
「……わかったよ。俺が犯人を見つけてみせる。これ以上、被害者を出さないためにも」
「なぁ、盛り上がってるのはいいけど、俺にはさっぱりなんだが……。俺の後ろになにかいるのか?」
ちょっとだけ戸惑ったように日下部は宙を見渡す。
「そういうことだから、今回の事件は手伝ってよね」
「どういうことだよ」
「いいじゃない。少女ばかり狙う連続殺人でしょ?同じ女として許せないところもあるし」
後ろから美咲愛が口をはさんでくる。
「ただし、依頼料は貰うからね」
「うっ。経費でどれだけ落ちるかな……」
お互い、お金にシビアなふたりだが、今回ばかりは木下の方が不利だった。
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