第4話殺された少女の為に犯人を追え!(前半)
「……なに? 女の子の幽霊が見えるようになったから、なんとかしてくれ?」
昨日と同じ時刻に、昨日と同じく“日下部探偵事務所”に来た木下を、残念な子どもを見るような目つきで眺めている。
しかし、当人は気にした様子はなく、ひたすらに首を縦に振る。
「なぁ、ここらへんに精神病院あったっけ?」
「ちょっと、真面目な話なんだって!」
「どう思う?」
「さあ、どうかしらね」
ソファーに座っている日下部と木下を、はたから見ている二人の姉妹が、ささやきあう。ちょっと面白そうに見ているのが妹の美咲恋。我関せずといった表情が姉の美咲愛。
「①目の錯覚、②精神的な錯乱、③本当。少なくとも嘘をついていないと思うわ。メリットがなさすぎる」
「そこ、人の噂するならもっと小声でやってよ」
露骨に聞こえる会話に、木下は注意する。顔がいつになく真剣なので、わりと本気で困っているらしい。
「なに? その少女の幽霊っていまも見えるん?」
「……いや、いまは見えないけど、気配は感じるんだよね。ひとりの時とかちらちらでてくるし。ほんっとに怖いんだよ」
「気のせいじゃないのかぁ? まぁ、いいや。解決できるかわからないけど、話だけでも聞いてやるよ。いつから見えるようになったんだ?昨日? これまでにも幽霊を見たことはあるのか?」
「あるわけないでしょ。昨日、殺人事件があってね。その遺体を見た時から出てくるようになったんだ」
いいながら、木下は懐から手帳を取り出し、その中に挟んであった写真を見せる。
「彼女は佐藤里奈さん。聖ミル女子高の二年生。学校の部活帰りに何者かに襲われたらしい。犯人はまだ特定できていないけど、犯行の手口から連続殺人犯の手によるものの可能性が高い。これ、内緒だよ」
明らかに処分ものの発言を平気でする所をみると、木下とこの探偵事務所との信頼度はかなり高いものと思われる。
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