第4.5話 カクヨム書き下ろし「白刃さんの悩み解決法」


 うーむ、どうしましょうか。


 部活、できれば何か入っておくべきなのでしょうがもらったプリントに書かれたリストを見るだけではイメージが湧いてきません。種類がたくさんあるからこそなんでしょうが、逆に何を選ぶべきか迷ってしまいます。


 こういう時は、落ち着いて優先順位を作りましょう。


 私、白刃美銀しらはみしろの好きなことは料理と絵を描くこと。まずはそこから絞りましょう。

 候補としてあるのは「家庭科部」と「美術部」に「イラスト部」

「マンガ部」も描く側なのであれば候補に上がるでしょう。しかしイラストとマンガが分かれているということは、きっと描く方と読む方それぞれ独立しているからなのでしょうか。


 好みによる優先順位は整いました。次は何で絞りましょうか。


 部活内容にもよりますが、家でも絵を描くことや料理はできます。しかしアナログの画材が揃っているのは学校の方でしょう。

 食材も食器もこの学校でなければ手に入らないということも無いでしょう。大型のオーブンとかあれば少し魅力的ですけど。

 つまり材料で考えれば、絵の方に軍配があがるでしょうか。


「イラスト部」はイラストといってるだけあり、きっとデジタル系や漫画系の可能性が高いですね。美術部が別であるぐらいですし。

 カラーペンやペンタブなどの周辺機材たちは、性能の良い物を揃えているかもしれませんが、家にもありますし使い慣れた物で描く方が気は楽です。

 となれば、普段触れない領域を学べる部活が良いかもしれませんね。


 絵の方面で三つに絞った部。それぞれへ見学をしに行きます。

 そして結果、最初考えていた通り「美術部」へ入ることを決めて、自分の教室におかれた入部届の紙を取りに戻りました。

 すると入学式のあと、体育館裏で泣いていた私に声をかけて、ハンカチまで差し出してくれた隣の席の男の子が悩んでいるようで、入部届とにらめっこしながら独り言を言っていました。


 悩みますよね、分かります。

 小さな共感を覚えて、彼へつい話しかけてしまうのでした。

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