第4話 ただのエロ目
トイレから出た俺を待ち受けた姉の桃華さん。誘われるがままたこ焼きを焼いている燕ちゃんと陽子ちゃんを尻目に玄関口へ。
階段上の2階にはとっくに上がって降りてこない
外は晴天。散歩するにはもってこいの日差し。でも期待するのは、年上女性との少しのデート気分。
前を見て歩いていると横にいる桃華さんの視線を斜め下から感じた。俺の身長はバレー部では低いが165cmだ。だが桃華さんはそれより10cm程下からの熱し線……。
唐突に右腕を組まれて、ドキッとした。
「どうしたの? 緊張してるぅ?」
「……」
「あははははっ。年上の女は嫌い?」
「……いっいえ!」
肘が丁度、肩越しから胸元へと当たる感覚。中学生の時に味わった女子の感じとは違う大人な色香に追わず笑みと、鼻の下が伸びた。
それに気づいたのか、突然組んだ腕を払いのけ、その場から小走りに走りだす桃華さん。
「あはははっ。捕まえてご覧よぉ。鬼ごっこ!」
「あっ、酔っ払ってますか? 余り走ると公道で危ないっすよ!」
その言葉をかけた瞬間、路地から唐突に出てくる自転車が見えて、慌てて前を走る桃華さんの腕を掴んで、引き寄せた。自転車のおじさんが俺たちに睨みを利かせて罵声を浴びせた。
「アホンダラ。昼間っから、イチャイチャすんな。ボケッ! 邪魔じゃ!」
「すっすみません……」
「……」
俺は、おじさんに謝りを入れたが、桃華さんは俺の腕の中で無言だった。自転車のおじさんは罵声を浴びせると、キコキコとペダルを鳴らし消えていった。その場で数秒の時間が停まる。
「だっ大丈夫っすか?」
俺の言葉に、コクリと首を縦に振る桃華さんだったが、俺は下から覗き込まれた大人の色気と少し怯えた表情が堪らなく可愛く思えた。昼の日中。顔を数センチまで付き合わせた状態のまま固まっている俺たち。
「いつまでこうしてたい?」
その言葉に我に返った。
「ごっごめん……」
「あははははっ。冗談よ。さぁ? お酒、重たいから、持ってよね?」
路地を曲がると、すぐにコンビニだった。抱き寄せた柔らかい感覚がまだ手に残りながらも、桃華さんに言われるがまま、レジを済ませると袋詰めのお酒を抱えて歩き出す。コンビニを出ると、桃華さんが俺に突然言い放った。
「さっき私のおしり触ったから、罰ゲームね。家までその状態で、走って私に勝つことができたら、みんなに黙っておいてあげる。負けちゃうと、みんなに言いふらしてやるからね?」
「えっ……ちょ!」
そう言い放つと、家までまた駆け出した。
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