第41話 うちに帰ると家が他人の家のフリをしています
次の日の放課後。
ついに、遂に……僕の家に友達が遊びに来るぞおぉおおーーーい!(高すぎるテンション)
イヤッフゥーー!ウッヒョヒョヒョーーイ!
夜は焼肉っしょーーーー!
……こほん。
それにしても、3人で帰るのはなんだか久しぶりのような気がする。
テスト期間は一緒に帰ることがなかったからなぁ。
しかも今日はそのまま僕の家に!
一度着替えてからという話も出たけど……結局はそのままで、ということになった。
僕が早く遊びに来て欲しかっただけなんだけどね。
あぁ、友達が家に遊びに来てくれるなんて、今日はなんて良い日なのだろうか!
『べちょ』
ん?何か僕の足元に降ってきた?
「あ。鳥のふんだね」
「きゃっ!」
思わずのけぞる千堂さん。
良い日って言ったそばから……。
でも友達が遊びに来てくれるからやっぱり良い日!
それだけでこのくらいの不幸は気にならない!
それに頭に直撃しなかっただけまし!不幸中の幸い!
「あ。黒猫が列をなして横切っていくね」
「あっちにはあり得ないくらいのカラスの群れがいます!」
……大丈夫かなぁ?
あ、靴紐切れた。
※※※
というわけで、やってきました家の玄関前。
「緊張してきました……」
千堂さんが胸を押さえている。別に緊張なんてしなくても……と思ったけれど、思い返せば僕も千堂さん家に行く時に少なからず緊張があったから……やっぱりそういうものなのかもしれない。
「ちょっと息を整えてから行きます」
「ボクもそうするよ」
2人とも緊張してるみたいだ。
緊張って伝染するのかな?
とりあえず僕だけ先に家に入っておくことに。
「た、ただいまー」
やっぱり緊張は伝染するのか、なんだか僕も少し緊張してきたかも。
自分の家なのに、友達を連れてくるというのがこれほどまでとは……。
まるで自分の家じゃないとこに入るような……
ガチャ。(ドアを開ける音)
「あ、おかえりなさい、蓮也。ちょっと待ってね、もー少しで準備終わ…」
バタン。(そのままドアを閉める音)
……なんだ?
今 一瞬、本当に自分の家じゃないとこのようなド派手で豪快な飾り付けが見えたんだけど。
「十宮くん?」
「どうしたんだい?」
後ろで待ってる2人が不思議そうな顔をしてる。
……よし、もう一回確認してみよう。
何かの間違いかもしれな……
ガチャ。(もう一度ドアを開ける音)
バタン。(やはりそのままドアを閉める音)
……見間違いではなかった。正直見間違いで会って欲しかった気もする。
ざっくり言うと、天井から床までキラキラしていた。
もう、それはそれは。
あれ?本当に入る家を間違えちまったのか……⁉︎
でもさっき、確かに見覚えのある母の顔が見えたような。
玄関のドアの前でうんうん唸っていると、さすがに変に思ったのか、2人もこちらにやって来た。
「何かあったのかい?」
「流石に家のドアを2回も開け閉めするのは気になりますよ」
ですよね。だけど、何があったのかは僕も聞きたいのです。
『うちに帰ると家が他人の家のフリをしています』
これだけで何か本を書けそうだな……。
「十宮くん?」
「大丈夫かい?」
「はっ!」
危ない。今、完全に意識が遠くにあった。
しっかりしなくては。
けれど……表札を見ても、ちゃんと“十宮”と書いてある。
ヤッパリ、ココ、ボクノ、イエ?
……うん、入ろう。
もうキラキラでもいいや。
後ろで2人を待たせている方がダメだ。
いざ、突撃ライトニング!
【蓮也、友達記念パーティー
ーーようこそ十宮家へ!本当によく来てくださいました!】
ドアを開けると、そこは不思議の世界でした。
さっき見た時には無かったはずの大きな横断幕が、そこにはあった……。
「ほぅ」
「へぇ」
「はぁ」
三人揃って呆然としている。ただひたすらに呆然としている。
誰一人として反応できてないよ。
僕だって、はぁ…としか言えなかったよ。
なぜこんな事に……?
ま、まさか、
『パーティーをしなくちゃ!』
あの時の伏線が回収されただとぉ⁉︎
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます