第40話 すごく高級なメロンは店長が自腹で買いました。こっそりと自分用にも買ったら店員に見つかりました。

「お腹いっぱいです〜」


とても満足そうな千堂さん。

あれ?これって勉強会のつもりだったんだけどなぁ……。すっかりパフェに持ってかれた……っ!

さて、勉強会に戻ろ……


「そろそろ帰りましょうか」


なんですと⁉︎


「まぁ、たしかに。もうこんな時間だからね」


神谷先輩にそう言われて時間を確認すると……

あ、本当だ。もう3時間くらいこのファミレスにいることになるのか。

さすがに長居しすぎたかな……。

ほら、きっと最初に注文を聞いた店員さんもあからさまに迷惑そうな顔してるよ。

と思って振り返ろうとすると……


「ちっ…!」


……え?舌打ち⁉︎さっきの店員さん、今、舌打ちしたよね⁉︎

僕たちに⁉︎

……と思って慌てて振り向くと、店長らしき人がさっきの店員さんに蹴られていた。

店長らしき人がペコペコ頭を下げている。

なんだ、僕たちじゃなくて店長らしき人に向けたものだったのか。

……いや、それはそれで大丈夫⁉︎

店長らしき人!強く……生きて……っ!

このファミレスを早く出たほうがいいと思い、帰る準備をする。


「よし……忘れ物はない?」


と言っても勉強道具くらいかな。


「忘れ物といえば、このメロンをどうするかだね」


神谷先輩がテーブルの片隅に置かれた、カットされていない割と大きなメロンを指差してそう言った。

あ。すっかり忘れてた。

パフェの衝撃が大きすぎて存在感が薄くなってたこのメロン。

サービスとは言われたけど、結局これは何だったんだろう。

詫びメロン……?


「とりあえずこのまま持ち帰りましょう。それで誰かの家でカットして、みんなで食べましょうか」


「それなら……」


ご飯屋さんの千堂さん家がいいんじゃ……と言おうとしたら


「十宮君の家にしないかい?」


「あ!それがいいですね!」


僕の家か………。


「……うん。そうだね、2人のことを家族にちゃんと紹介したいしね」


「そ、そんな家族に紹介だなんて……。なんだか恋人みたいですね……(ボソボソ)」


「‘2人’というのがいささか引っかかるけれど……確かにそういう気もしなくもないね」(ボソボソ)


と、いうわけでこのまま家へGO!


「じゃあこれから家でメロン食べようか」


「「今から⁉︎」」


……にはならないみたい。

みんな勉強会で疲れているのかなぁ……。


※※※


会計を済ませた後、僕たちはそのままファミレスで解散した。

パフェの753円という破格の値段設定(僕たちとっては最高だけど、この店大丈夫かなぁ……)に驚きながらも……レジ横の、真っ白に燃え尽きたような姿で空気椅子をしている店長らしき人が気になって仕方がなかった。

少し目を離していた隙に、一体何があったんだろうか……?(世の中にはね、知らない方がいいこともあるんだよ……)



あ。そういえば、メロンのこと。

2人ともまだ準備がなんちゃらかんちゃら……ということで、明日の放課後、学校の帰りに家に来てくれることになった。

家に帰って、そのことを家族に話したらそれはもう大喜びで。

父さんも母さんも明日は有給を使って仕事を休んでくれるらしい……。

父さん……、母さん………っ!

真由はどうしても用事があるらしく、残念ながら2人を紹介できないみたいだ。

その時に言っていた

『くぅ、またも泥棒猫のしっぽを掴むチャンスがぁ……』

という言葉、あれは何だったのか……。まぁ、大丈夫だろう。(大丈夫じゃない)

また今度、別で機会を作れればいいなと考えてる。

2人の予定を聞いておかないと。

まぁでも今は、とにかく明日が楽しみだなぁ。

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