第37話 口は災いの元、よってリア充は処すべし

テストの復習が始まってから30分ほど経過した頃


「疲れましたぁぁぁーーー」


テーブルにふにゃんと突っ伏す千堂さん。

手からペンがコロコロと転げ落ちる。


「うん。だいぶ疲れたみたいだね……そうだ、何か甘いものでも食べようか」


疲れた時には甘いものを。これ鉄則。


「あ、いいですね!」

急に元気になる千堂さん。


「じゃあボクも少し休憩にしようかな」


メニュー表をみんなで囲む。


「僕は……この抹茶アイスにしよう」


「ふむ……じゃあボクはこの杏仁豆腐にしようか」


「私は……あ、このジャンボパフェにします!」


それ、写真を見る限りかなりのサイズに思えるけど……。千堂さん、よほど疲れていたのか……それともデフォルトか……。


「すみませーん、店員さん、注文いいですかー」

千堂さんが真っ先に呼んでくれた。


「はい」


店員さん速いな。今さっき向こうの方にいなかった?


「え〜と、僕はこの抹茶アイスを」


「抹茶アイスが一つ」


「ボクはこの杏仁豆腐を」


「杏仁豆腐が一つ」


「私はこのジャンボパフェを一つ」


「ジャ、ジャンボパフェが一つ」


なぜか店員さんの反応が少しぎこちないようだった。

なんだろう?作るのに相当時間がかかるのだろうかな?

頼む人があんまりいないとか?


「はい!注文は以上で」


「……はい、ご注文を繰り返します。抹茶アイスが一つ、杏仁豆腐が一つ、カップル限定特製ジャンボパフェが一つ、でよろしいでしょうか」


はい、よろし……ちょっと待って、今何かすごい言葉があったような。

………えぇと


「「「カップル限定⁉︎」」」


息ぴったり。


「はい、こちらに書いてある通り」


店員さんが示した通り、メニュー表を見る。


「た、確かに書いてある……」


そこには本当に『カップル限定♡特製ジャンボパフェ〜これがリア充のやることかよッ!風〜』という文字が。


「書いてあります……」


「書いてあるね」


そうだったのか……なぜ誰も気がつかなかったんだ?千堂さんも知らなかったんだろうなぁ。さっき驚いてたし。


「それで、どの方とどの方がカップルなのでしょうか」


「「「⁉︎」」」


こ、これは……。


「あの〜僕たちは友達なんですが……」


「あれ?そうだったんですか、私はてっきり……」


「はいストーップ!ちょっと!なに言ってるんですか!」



と、そこまで言ったところで誰かが必死に走ってきて、店員さんの言葉を途中で止めた。


「あ、店長。いや、でもこれ完全に……」


「偏見ですよ偏見!……すいません、お騒がせしました。パフェは注文可能ですのでご安心ください」


「は、はぁ……」


「では、注文を承りました。しばらくお待ちください……ほら、行きますよ!」


「えぇ……でも『リア充、処すべし』がこの店のモットーじゃなかったんですか?」


「ありませんよ!そんなモットー。ほら、早く行きますよ」


「ちょ、てんちょ……」


なにやら店長らしき人が店員さんを引っ張っていった。

嵐のような人達だったなぁ。

まぁでも、無事に注文ができたみたいで良かった。

……なんて思っていたら


「十宮くん、私とカップルのふりをしてください」


なんだぁ?

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