第36話 ぼくたちはテストの復習ができない
家族会議。
それは家族間で行われる会議。
家族での会話がメイン……のはずだ。
しかし、今回は主催者のプライバシーにかかわるので一部抜粋して……というより、会議開始から終了までダイジェストでお送りする。
「母さん、なんで僕のスマホのパスワード知ってたの?ことと次第によっては、これは親子の……」
「履歴……」ボソッ
「家族会議しゅーりょー!」
こんな感じで主催者の賢明な判断によって会議は幕を閉じた。
……パスワード変えよ。
※※※
なんかもう色々あって2人へのLIMEの返事が遅くなってしまい、最後には生存確認のメッセージまで届いたので、急いで返事をした。
『生きてますか?』
『きっと大丈夫だよ』
『ごめん、返事遅くなって』
『ちゃんと生きてます』
『色々事情があってスマホを見てなかったから』
『無事で良かったです!』
それで次の日、2人とファミレスで会う約束をした。
テストが終わったらこれだよね。
そう……!
※※※
翌日、ファミレスにて
「そういえば十宮君、一昨日玄関で妹さんにスタンガンで気絶させれられてたみたいだけど、どうしたんだい?」
【朗報】 ‘じゃっじめんと’の正体が判明
【悲報】 妹にスタンガンを使われた
嘘だろ⁉︎この世に兄にスタンガンを使う妹がいるのか⁉︎
知りとーなかった、そんなこと知りとーなかったんだよ……
「十宮君、大丈夫かい?」
「あぁ、うん。なんとか」
「さぁさぁ、これでも飲んで」
「ありがとう」
「……ってそれ那月先輩のじゃないですか!ちょっと、十宮くんも普通に飲まないで!」
「シマッタウッカリ」
「あからさまです!」
……ん?
「……あれ?そういえば、スタンガンって動けなくなるだけじゃなかったっけ?」
気絶とかしないと思うけど……
「あぁそうそう、その後すぐに何か……たしか布を口に当てられてたよ」
まさかの睡眠薬⁉︎スタンガンに睡眠薬⁉︎
妹って、怖いなぁ……。(しみじみ)
こんなやりとりをしつつ、今日の本題へ。
「ということで、テストの復習をしよう!」
「おー」
やや平坦な『おー』の神谷先輩。
「えー⁉︎」
そしてなぜか千堂さんが驚いてる。
昨日LIMEで伝えたはずなんだけどなぁ……。
「せっかくテスト終わったのに……」
「そっか……ごめん、僕、友達と『ここの答えどうだったー?……え、マジで?3かよ〜。俺そこ4にしちゃったよ〜。あ、じゃあ次は?……よしっ!俺も2だった!……やっぱりそうだよな、これ教科書に載ってなかったよなぁ。……え?問題集にあったって?嘘ぉ……』みたいの、一度でいいからやってみたかったんだ……」
「……そんなこと言われたらやるしかないじゃないですかー!それ以外選択肢がないじゃないですかー!
「やけに具体的だったね」
神谷先輩のツッコミはスルーで。
「でも私、ここに問題用紙持ってきてません……これは、十宮くんのを見せてもらうしかありませんね!」
「あ、ずるいぞ」
「いや〜しょうがないですよね、持ってないんですから。少し距離をつめたほうが2人とも見やすいですよね?」
「大丈夫、ちゃんと僕のやつのコピーがあるから!」
「十宮くんのバカー!」
「えー⁉︎」
何故バカと言われたんだろうか。
まさか、わざわざ問題など用意するまでもなく、暗記しているということか?
あの千堂さんが……?
………いや、ないな。(勉強会を思い出して)
しかし、コピー機を使ったのはいつぶりだろう。
たしか前に風邪をひいた時に、〈『その日の授業のノートのコピーを友達にもらう』というものを体験してみたくて、予習していたノートをわざわざコピーして、もう一度同じページに貼る〉……という作業をしていたところを真由に見られた時以来だなぁ。
あの時の真由、少し泣きそうだったな。
もう絶対にしないと誓ったよ。
結局、千堂さんには僕の問題を使ってもらうことに。
さぁ、憧れのアレが!
「千堂さん、ここの答えどうだった?」
「すいません、覚えてません」
「ここは?」
「すいません……覚えてないんですっ……」
どうやら千堂さんはテストが終わると内容が頭からすっぽり抜け落ちてしまうタイプの人だったらしい。
神谷先輩はそもそも学年が違うし……。
くっ、
………友達と一緒にテストの見直しができてるだけで嬉しい!(ポジティブ)
※蓮也の問題のコピーは実際には蓮也が使っている(一度コピーしてから原本の書き込みを綺麗に消してそれを花音の分にした)
なお、友達のために消しゴムをかけている蓮也はとても楽しそうだったという……
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