第24話 カラオケって楽しむものだったのか

知ってる曲ばかりじゃなくて、知らない曲も結構あった。

いい曲だったので今度聴いてみよう。

友達がいると、いろんな曲に触れられるんだなぁ。

僕、全く知りませんでした。


しばらく歌っていると、延長するかどうかの電話が来た。

もうそんな時間だったのか。

スマホの時計を見ると、6時を過ぎていた。


「時間、どうする?」


「ふむ⋯⋯。そうだね、テスト勉強もあるし、今日はこのくらいにしておこうか」


「え〜。もっと歌いましょうよ」


「千堂さんはテスト勉強頑張らなくちゃね」


「うっ、……は〜い」


なんだか千堂さんが拗ねたみたいだ………。

単純に歌いたかったのか、それとも勉強からの逃避のためだったのか。


「また勉強会頑張ろうね」


「うぬっ⁉︎」


はい、後者でした。

まぁでも、本当に楽しそうに歌ってたし、テストが終わったらまた来たいなぁ。

そんなことを思っていると、千堂さんが


「べ、勉強会はいいんですけど、その……」


勉強会の話の続きらしい。


「こ、今度は私にもグラスを……じゃなくて、もうグラスは渡さないでください!」


……?


「えっ……と?」


「この前の勉強会で神谷さんにグラス渡したじゃないですか」


「あ、はい」


そういえばそんな事もあった。


「ああいうのは、その、まだ早いと思うんです」


まだ早い?


「ですのでこれからは、ああいうのは控えてもらいます」


回し飲みのことなんだろう。


「いいですか?」


「は、はい。分かりました」


千堂さんの気迫に思わず敬語になってしまう。


「異議あり!」


「シャラップ!」


「ひぃん!…」


一瞬で沈黙した神谷先輩。

沈黙。それが正しい答えなんだ……。


延長はせずに、最後に皆んなで一曲を一緒に歌って終わることにした。


ケ◯メイシの‘友よ 〜 この先◯ずっと…’を提案したら……


「「却下で」」


いい歌なのに……。

皆んなが知ってる曲ということで、和田◯司の‘Butter◯Fly’になった。

あぁ、いい歌だ。


こうして2人との、初めての友達とのカラオケは幕を閉じた。

そうか……回し飲みってしない方がいいのか。

家族とはよくやってるからなぁ……。

友達とはしない方がいいらしい。

これから気をつけよう。

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