第25話 いくつに見える?と言われても

2度目の勉強会は割愛。

ただ一つ言えるのは、今回も那月が勝利したということだった……。

(敗因:普通にテスト勉強で余裕がなかった花音)






そんなこんなでいつの間にかテスト終了。


「終わりましたーーー!」


千堂さんの叫びが昼間の道路に響く。

今日は神谷先輩は用事があるらしく、千堂さんと2人で帰っている。

さて。テストも終わったことだし、帰ってから復習して、あとは寝ておこう。

いつも通りの流れでそうしようと思っていたら、


「あの〜。もし良かったら、家でお昼ご飯食べて行きませんか?」


千堂さんからの誘いがあった。

そういえば、前に千堂さん家が定食屋で、食べに来てほしいって話してたなぁ。


「うん。じゃあ、そうしようかな」


どうせ家に帰ってもカップ麺しか食べないしね。

ということで千堂さん家にお邪魔することになった。

ハンバーグあるかなぁ。




千堂さん家に着いたものの、平日の昼なので、お昼休みのサラリーマン達で店は満杯だった。

なので一旦千堂さんの部屋で時間を潰すことにする。

少し待っててと言われたので裏口で待機しておく。



※※※


「十宮くんが私の部屋に……」


本当はあんなこと言うつもりはなかったんですが、テストが終わった開放感と神谷先輩がいないから今なら…っていう期待感から、つい言ってしまいました。

しかもお客さんが多いから私の部屋にって……。


「ひゃぁーーーー!」


思わずベッドの上で悶えてしまいます。

はっ!

こんなことしている場合じゃありません。

今から十宮くんがこの部屋に来るんです。

ちゃんと片付けておかないと!

テスト勉強の時に気づけばなぜか掃除をしていたので、そんなに汚くはないと思いますが……

それでももう一度念入りに。

あ、着替えはどうしましょう。

さすがに制服のままじゃ……部屋着に…。

でも私だけ部屋着に着替えるのも……



結局十宮くんを部屋に招き入れたのは1時間後のことでした……。

着替えはしました。

部屋着じゃなくて、少しおしゃれして。

せっかく十宮くんと2人でいるんですから。



※※※


家の裏口にずっと立っているってなんかめちゃくちゃ怪しい感じがするなぁ。

いまだに千堂さんは戻ってこない。


ガチャ


お、千堂さんが


「あら?どなたかしら?」


こちらこそどなたかしら⁉︎

もしかして千堂さんのお母さん⁉︎


「あの、僕は千堂さ……花音さんの友達の十宮と言います」


千堂さん家で千堂さんの……というのもなんだかおかしい気がしたので、下の名前で呼んでしまった。

なんか新鮮な響きだ。

友達の親に自己紹介なんて。


「あら、そうなの?私は花音の姉です」


んーーー!お姉さん!

お母さんかと思ってしまってすいません!

ええとですね、あの…

実際に‘お母さんですよね’と口には出してはいないものの、罪悪感が凄まじく、なぜか言い訳を考えていると


「ふふふ、冗談ですよ。私は花音の母の樹里です」


心臓に悪い冗談はやめてください!

本気で土下座しそうになったじゃないですか!


なんとか動揺を悟られまいとしていると


「そんなに申し訳なく思わなくても大丈夫ですよ」


バレてーら。

千堂家はエスパーの家系なのだろうか。


「変な冗談を言ってごめんなさいね」


「いえいえ、そんな。こちらこそすいません」


よし、なんとか会話の方向を修正して…


「まぁ、もうこの歳でお姉さんなんて無理があると自分でも思ったんですよ……」


あぁ、完全に拗ねてーら。

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