第23話 ぼっちでもカラオケがしたい
「2人はどこか行きたいところある?」
「この時間だと……カラオケかな?」
「いいですね、カラオケ」
「じゃあカラオケに行こう」
カラオケに決まった。
カラオケかぁ、随分と久しぶりな気がする。
中2の時に家族で行ったきりかな。
1人でカラオケにも行った事がある。
中学の時に一度だけ。
たっぷり歌おうと思い、時間は3時間くらいにした。
しかし、それが間違いだった。
1時間半くらい歌ったところでトイレに行こうと思って部屋を出ると、おそらく高校生だと思われる集団が盛り上がっているのが聞こえてきた。
その時にふと、自分は何をやっているのだろうと思い、残りの時間は必死に同じ歌を何度も歌い、歌の練習をした。
帰る時には喉が枯れていた。
でも、おかげで歌が上手くなりました!
部屋に入ると、まず飲み物を注文した。
どこかで糖分が多いものやカフェインが多い物はカラオケの時は避けた方がいいと聞いたので、紅茶にしよう……
とも思ったけど、ウーロン茶にした。
2人もウーロン茶だった。
ちなみに時間は3時間にした。
同じ時間でも、あの時とはまるで違う。
不思議ですよね。
友達との初カラオケ。
最初に歌うのは結構ハードルが高い。
ということで2人が先に曲を入れないかなぁと2人を見てみる。
2人もこっちを見ていた。
考えることは皆同じということだ。
……しょうがない。今こそ前に1人カラオケで鍛えた歌唱力を見せる時だ。
お気に入りの曲を入れて歌う。
歌った。
少し緊張したけど、ちゃんと歌えたと思う。
採点の結果が出る。
‘98.455’
おぉ、結構良かったんじゃないかな?
2人の反応を見てみる。
あれ?
なぜか2人とも苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「ええと……どうだった?」
「あ、あぁ、とても上手かったよ」
「そうですね。たしかに上手いんですが……その…曲が……」
選曲が悪かったみたいだ。
いい歌だと思うんだけどなぁ。
ちなみに今歌ったのは
BUMP ◯F CHICKEN の‘友達◯唄’
だった。
それから皆んなで順番に曲を入れて歌っていく。
前に家族で来た時は真由がひたすら歌ってたから、友達と来た時にはどうすればいいか分からなかったけど、2人が順番に歌おうと言ったのでそうすることになった。
飲み物が来た時には丁度千堂さんが歌っていた。
千堂さんはそのまま歌い続けていたけど、僕なら一旦やめてしまいそうだ。
これがカラオケマスターか。(違う)
カラオケに来て、気づいたことがある。
2人とも歌が上手かった。
特に千堂さんは歌がとても好きらしくて、振り付けまでしていた。
最初は普通に立っていたのに急に踊り出したので初めはびっくりした。
「千堂さん、ダンスも上手いね」
「へ?」
「だってほら、今の歌も踊ってたし」
「たしかに。キレッキレだったね」
「え……あ、あぁぁぁぁーー!」
座り込んで顔を覆う千堂さん。
「「え⁉︎」」
どうやら無意識だったらしい。
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