第20話 検索履歴:LIME 友達追加方法
神谷先輩が大きめの咳払いをして、
「もうそろそろ1時間経つんじゃないかな?」
と言った。
あぁ、もうそんなに経ってたのか。
勉強に集中して気がつかなかった。
「千堂さん、君はとっくに気づいてたんじゃないのかな?」
「さぁて、何のことでしょう?」
席を変わるときに小声でこんな会話が交わされていたことにも気づかなかった。
神谷先輩が隣に来た。
最初は僕が隣に行こうとしたけど、
「ダメだ、君の席を狙っている奴がいる」
とかなり物騒なことを謎の気迫とともに言われたので、そうなった。
神谷先輩はかなりストイックらしくて、
「問題を間違えたらボクを厳しく叱ってくれ!」
と言う神谷先輩。
勉強に対する姿勢がすごいなぁ。
千堂さんは、うわぁという目でこっちを見ていた。
なぜだろう。
問題のミスが結構多かった神谷先輩をちゃんと叱った。
しかし、叱るたびに顔を俯かせる神谷先輩。
たまにプルプル震えている。
そんなに怖かったかな?
「やめようか?」
と言ったら、
「やめるなんてとんでもない!」
全力で続けるように言われた。
ストイックだなぁ。
少しお腹が空いたので何か注文することに。
迷った結果、みんなでピザとスパゲティをシェアすることになった。
家族以外とシェアなんて初めてだ。
あれ?なんだかスパゲティがしょっぺぇや。
カルボナーラだった。
僕はそれとは別に追加でハンバーグを頼んだ。
デミグラス、鉄板。
おいしかった。
神谷先輩は
「ボクの時の勉強の時間が減ってしまった……」
と少しガッカリしていた。
それほど勉強にストイックなのだろう。
結局、2時間で勉強会は終わった。
ファミレスを出て帰ろうとした時、千堂さんが
「れ、連絡先を交換しませんか?」
と言った。
たしかに明日は学校も休みだし、連絡先を交換しておけば休日でも連絡がとれる。
なぜかその発想はなかった。
神谷先輩も
「その案を推奨するよ」
となぜか堅苦しい言葉で賛成した。
もちろん僕も願ったり叶ったりだ。
3人で連絡先を交換した。
アプリを入れたはいいけど家族のみで、ほとんど機能していなかったLIMEもこれで報われるだろう。
さぁ、また3人で帰ろう。
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