第19話 ご注文はグラスですか?
友達を家に連れてくるとは言ったけど、もうすぐテストがあるからテスト勉強をしなければいけない。
テストが終わってからにしようと思っていたけど
「家で一緒にテスト勉強すれば良いじゃない」
と母さんに言われた。
その発想はなかった。
早速次の日、2人に言ってみた。
神谷先輩
「まだだ、焦るのはまだ早い」
千堂さん
「と、十宮くんの家⁉︎まだ挨拶するには心の準備が……」
とにかく家に来るのはまだ早いらしい。
でも勉強会自体は良いらしく、学校近くのファミレスで行うことになった。
早速今日、ファミレスで勉強会をする。
家には帰りが少し遅くなることを伝えた。
「いや、違うって。まぁ、いつかは…ってそうじゃなくて!」
「えぇ⁉︎い、いや、まぁ、そうなんですけど、でも…」
それぞれが家に連絡している途中で2人がチラチラこっちを見ていた。
なぜだろう?
顔も少し赤くなってたみたいだ。
体調は大丈夫らしい。
ファミレス。
「ファミレスって初めてだなぁ」
そう呟くと2人に驚かれた。
「いや、だって流石に1人じゃ来づらいし」
千堂さんに抱きしめられた。
「もう1人じゃないですよ」
と言われた。
なんだか嬉しかった。
神谷先輩からも
「そうだよ」
と言われて抱きしめられた。
ファミレスの駐車場で。
店内に入ると、同じように勉強している人たちがちらほらいた。
ここは勉強してOKと入り口に書いてあったからね。
4人席だった。
2人ずつ、対面型の。
席順でもめた。
結局、1時間交代で僕の隣が入れ替わる感じだ。
なんだかんだで僕1人と、神谷先輩と千堂さんに別れようとしたけど、少し寂しなと思ってたらそうなった。
どうやら顔に出ていたらしい。
まずは何か飲み物を注文ことにした。
普通に注文しようとしたら2人に止められた。
ドリンクバーというのがあるらしく、それにした。
最初は、コーヒー、オレンジジュース、メロンソーダ
神谷先輩、千堂さん、僕の順で
「ブラックで飲めるの?」
と神谷先輩に聞いたら、
「あ、あぁ、もちろん!そうに決まってるだろう」
ブラックコーヒーを飲んだ先輩はとても苦そうな顔をしていた。
ごめん。飲めなかったんだね
次からは砂糖をたっぷり入れていた。
成績について。
僕は結構できる方だと思う。
勉強しかやることがなかったし。
………
神谷先輩。
なんと、学年トップらしい。
すごい。
そして千堂さん
「あぁ〜分かりません!」
こういう感じだった。
基本的に僕は千堂さんに教えながら、分からないところがあったら神谷先輩に教えてもらう。
最初は千堂さんが隣だった。
神谷先輩が羨ましそうにこっちを見ていた。
そんなにメロンソーダがよかったのかな?
ドリンクバーはおかわり自由らしいのに。
僕は姿勢が悪いらしく、すぐに猫背になってしまう。
そのたびに千堂さんが指摘してなおしてくれる。
無意識のうちにそうなっていて、自分じゃ分からないからとてもありがたい。
視線を感じたのでそっちを向くと、神谷先輩がこっちを恨めしそうに見ている。
よっぽどメロンソーダが良いのかと思い、僕のメロンソーダをあげたらとても喜ばれた。
なぜか千堂さんに睨まれた。
※※※
ファミレスでの攻防(一部抜粋)
(今、十宮くんは勉強に集中しています。どんどん猫背になっていってます)
(今、十宮君は勉強に集中している。チャンスだ!)
蓮也のグラスに手を伸ばす那月。
それを阻止しようとする花音。
動きが速い那月の勝利に思えたが……
「あ、十宮くん、また猫背になってますよ」
「ありがとう、千堂さん」
ここで花音の奥の手、‘蓮也の集中を途切れさせる’が発動。
那月もあわてて勉強へと戻る。
(これで十宮くんのグラスを魔の手から守れました)
那月へ‘してやったり’と言わんばかりの視線を送る花音。
那月は恨めしく見ているしかない。
しかし、まさかのイレギュラー。
なんと蓮也自らがグラスを差し出した。
この事態には花音もパニック。
驚いてしまい、どうすればいいのか分からなくなった那月も無意識の内に、ほとんど反射的にそのグラスをしっかりと受け取る。
winner 神谷那月
花音はただ蓮也を睨むしかできなかったという……
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