第16話 また明日
お見合いごっこは結局やった。
自己紹介も兼ねたものだった。
他には、好きなタイプとか、そんなことも聞き合った。
こういうのって女子会なんかでする話じゃないのかなぁ?
恋バナ的な?
まぁ僕には分からない世界だ。
蓮也の知らないお見合いの世界。
僕も好きなタイプとか聞かれたけど、僕にはまだそういうのは早いかなぁって言うと2人はガッカリしたみたいだった。
そんなに恋バナ?がしたかったのかなぁ?
そういえば、千堂さんに比べて神谷先輩は質問の数が結構少なかった。
そんなこんなで、先に神谷先輩の家に着いた。
「それじゃあ、また明日」
‘また明日’は良い。
リリンの生み出した文化の極みだ。
今まで無縁の言葉だったから、余計に。
それこそ先生にくらいしか言われなかった。
まったくの余談だけど、‘またな’って言葉を‘又ナ’にして合わせると、‘友’という字になる。
以上、友達ができてテンションが上がっている蓮也がお送りしました。
そんな事を思って喜びに浸る蓮也の横では、無言で花音を恨めしく睨む那月とドヤ顔の花音の間で火花が散っていた。
千堂さんの家はまだ先だというので送っていく。
あんまり遅い時間ではないけど、暗くなり始めているから。
なんかの本に、女の子は送るのが常識だと、ダンディな男の絵と一緒に書いてあったのを思い出した。
どうしてか狼の絵も描いてあった。
ダンディな男に狩られてたけど。
「そういえば、千堂さん家は定食屋って言ってたね」
「は、はい。……それで、こ、今度ぜひ、うちに来てください!」
唐突に家に呼ばれた。
「あ、いや、その、別に変な意味とかじゃなくてですね、ぜひうちの定食屋の料理を食べてくださいって意味でですね、他意はなくてですね、」
そうか、これが友達の家に遊びに行くというものか。
「ありがとう、今度、千堂さん家に課金しに行かせてもらうね」
「はい!……じゃなくて言い方!」
言葉選びを間違ってしまったらしい。
千堂さんを家に送った後はそのまま家に帰った。
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