第15話 友達っぽいこと
まさか2人どころか3人で帰り道を歩くなんて、今までは想像もできなかった。
千堂さん、僕、神谷先輩の順で並んで歩いている。
前は何人かで横に並んで歩いている人を見かけると、
横からツインバスターライ◯ルでなぎ払われないかなぁとか思ってたけど、
今は違う。
だって友達ができたからーーーー!
できたからーーー!
からーー……
……まぁ反射的に思っちゃう時もあるけど。
とにかく、せっかく3人で帰れるんだ。
話したいことが、話したいことが……
何話せばいいの⁉︎
いざ友達ができたとなると何を話せばいいか全然分からない。
友達のつくり方は調べてたし、友達ができたらこんな事がしたいとかは考えてたけど、
何を話せばいいかは調べていない。
今は皆んな無言だ。
誰か喋って!
そんなことを思っていると、千堂さんが
「そういえば2人はいつから友達に?」
と聞いてきた。
「え〜と…」
あれ?友達っていつからが友達なんだっけ?
友達になってって言われたのは一昨日だけど、ちゃんと話したのは昨日からだ。
どのタイミングで友達というのが決まるのかを考えていると、
「一昨日からだよ」
一昨日からだそうだ。
「へぇ〜そうなんですねぇ。奇遇ですね、私たちも一昨日からなんですよ」
「ヘェ〜そうなんだね」
ソォーーーナンスッ!
……とボケようかとも思ったけど、今は言わないほうがいいかも。
だってなんか空気が重いような気がしたから。
まるで同じ日に違う場所で告白して、それぞれに黙って2人と付き合うことになった人を責めているような感じだ。
まぁ、きっと気のせいだろう。
「十宮くんの趣味はなんですか?」
「う〜ん、趣味かぁ……。読書とか、アニメとかが好きかな。あとは…あとは……」
あれ?僕って趣味少ない⁉︎
「せ、千堂さんの趣味はなんなの?」
「私はですね……手芸なんかが好きですね」
「手芸かぁ。僕、あんまり手先が器用じゃないから、そういうのできるってすごね」
「! あ、ありがとうございます!今度何か作ってきますね!」
「いいの?」
「はい!」
おぉ、なんかこういうの友達っぽい!
プライベートな会話ができる!
「神谷先輩は趣味とかは?」
「ボクは料理、かなぁ?」
「料理が得意なの?」
「あぁ、そうだね。君の好きなハンバーグも作れるよ」
「いいなぁ」
あれ?そういえば僕の好物がハンバーグだって言ったっけ?
「僕、ハンバーグのこと話したっけ?」
「あ、いや、それは、その、あれだ!そんな感じのオーラが出てたから」
これもオーラ⁉︎僕のオーラって、ぼっちオーラとハンバーグオーラ⁉︎
「ハンバーグ……」
なにやら千堂さんが神妙な面持ちで呟いていた。
「千堂さんもハンバーグ好きなの?」
千堂さんはハッとした顔で
「いや、あの、家が定食屋なので、その…」
そうなのか。
僕は普段あまり外食をしないから知らなかった。
僕の家が、食事は基本的に家でっていうこともあって。
まぁ、そもそも家以外で食べようと思ってもなかなか1人じゃ……。
友達と行けばって?
あ、そうだったね友達いなかったね って顔をやめろ!
やめてください!
そんな感じで会話を続けていると ふと、
「なんかこういう趣味とか好きな料理とかの質問するのってお見合いみたいだね」
つい口に出てしまった。
2人は固まってしまった。
しまった。
異性の友達にこういうのって言っちゃまずかったかなぁ?
すぐにあやまる。
「あ、ごめんね。なんか変なこと言っちゃって」
「い、いや、というかむしろ、なんか、あれですね……」
千堂さんがゴニョゴニョ言っている。
「そ、そうだね!むしろいいよね!お見合い!」
いいらしい。
「お見合いって他にどんな事を話すんでしょうか?」
千堂さん復活。
「お、お見合いごっこでもしてみようか!」
帰り道でのお見合いごっこって初めて聞いた。
友達って帰るときにお見合いっごっことかするんだっけ?
生徒会◯一存でやってたような気がする。
帰り道じゃ無かったけど。
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