第12話 那月パニック
那月視点そのに
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姉から頼まれたので仕方なく友達になることにした。
ボクは計画が少しずれるとすぐにテンパってしまうので計画は念入りに。
あくまで自然に友達になれるように。
情報収集に余念はない。
よく観察して、行動パターンをチェックする。
彼の名前は十宮蓮也。
どうやらよく本屋に行っているらしい。
そこから買う本を分析し、事前に彼が買いそうな本を残り一冊にしておく。
それからの私の計画はこうだ。
1、彼がと同じ本を同じタイミングでとろうとする
2、Aルート 本を彼が買う場合
2、Bルート 本を譲ってもらった場合
どちらでも接点はできる。
3、そしてそれから後日、学校で「あの時の!」と声をかける。
4、本のことなんかを少し話す→まだ話し足りない→友達になって
完璧だ。
そして作戦実行の日。
念の為に学校帰りにすぐに本屋に急いで行く。
本を残り一冊にしたあと、急いで家に帰って本を置き、すぐに本屋に戻る。
すでに同じ本を持っていると怪しまれるかもしれないからだ。
この時間帯に他に客はいないはずだから見張っていなくても大丈夫。
ついでに制服も着替えて髪も結んでおいた。
自分が買うことになった場合、店員に変に思われるリスクを下げるためだ。
計画通りに接点をつくることができた。
本はボクが買うことになった。
レジに行って代金を払おうとすると……
財布がない。
しまった。着替えた時に財布を置き忘れてきた!
大丈夫、大丈夫。
落ち着け、落ち着くんだ!
…………よし。
よく考えると、別にこの本を買わなくてももう接点はできたわけだし、元の棚に返してこよう。
そう思って戻ると、そこには4〜5冊の本を持った彼がいた。
あぁ!別の店で買うと言っていたから油断した!
まさか他の本をここで買うなんて。
計画がずれてパニックになる。
そんなボクに彼は
「お金が足りなかったんですか?」
と声をかけてきた。
パニックでうまく言葉が出ない。
どうしようもなくなっていると、彼は急に私に小銭を投げつけ
「ほらぁ!拾えばぁ?」
と言った。
その瞬間、なぜかボクの胸が高鳴った。
その瞬間、ボクは恋に落ちた。
これからどうすればいいか分からず、逃げてしまった。
その時に
「ボクと友達になって」
という、後で言おうと用意しておいた言葉がつい漏れ出てしまった。
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