第11話 間違いだらけのラブコメディ

花音視点そのに

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今日の放課後に十宮くんに告白をするために手紙を用意しました。

放課後に校舎裏で待ってますと書いた手紙。

手紙は靴箱に入れて、あとは放課後を待つのみ。

なんとなく恥ずかしいので放課後までは十宮くんに近付かないようにします。


そしてついに来た放課後。

まだ十宮くんは来ていません。

はぁ、ちゃんと言えるかなぁ?

あ!というかまずここに来てくれるかな?

なんだか急に不安になってきました。



そんなことを考えながら待っていると、十宮くんに後ろから声をかけられました。

あぁ、良かった。

ちゃんと来てくれて。

ちょっとびっくりして噛んでしまいました。

少しほっとしたけど、本番はこれから。

ちゃんと練習した通りに。

もし断られても友達からお願いしますって言います!


するとなぜか十宮くんは財布をポケットから出して、その中から5千円札を取り出しました。

………なぜ⁉︎

どういうわけか私にお金を渡そうとする十宮くんをどうにか止めます。

十宮くんはまだ自分が告白されることに気付いてないみたいです。

あれ?もしかしてこの前のこと覚えてないんですかね?

まぁ、ひどく怯えてたからその時の記憶が曖昧なのかもしれません。

それでも、ここまできたからには、ちゃんと言うんだ。

好きだって。

付き合ってくださいって。

もし、断られても、友達からお願いしますって。


最後にそんなことを考えていたのがいけなかったのか、急にお金を出されたことで混乱してしまったのか分からないけど……


「私と……t、友達からお願いします!」


私の口から出たのはそんな言葉でした。


あれ?今、私、なんて……?

言い間違いに気付いた私はすぐに言い直そうとしました。

でも……


「やったー!友達ができたーー!」


こんなに無邪気に喜んでいる十宮くんを見ていると、なかなか言い出せません。


「え、えと、その、」


あぁ、そんな悲しそうな顔しないでください!

そんな顔をされたら……私は…私は、


「と、友達!私たちはもう友達ですよ!」


こうとしか言えなくなってしまう。



「あ、あぁ、なんでここで間違っちゃったの……」


でもまだチャンスはある。

友達になっただけでこんなに喜んでくれたんです。

きっと恋人になったら……なったら……

思わず想像してしまい、とてつもなく恥ずかしくなってしまう。


今、私絶対顔が赤くなってます!

あぁ、早くこの場から立ち去りたい!


「そ、それじゃあぁぁぁーー!」


つい逃げてしまった。

と、とりあえず友達にはなれたから一歩前進ですよね!




気が抜けたのか、次の日は熱を出して休んでしまいました。



そしてその次の日。

告白?してから初めて十宮くんに会いました。


「話したい事があって」


は、話したい事⁉︎

な、なんでしょうか。


「ちょっとここでは言いづらいんだけど……」


ここ(教室の前)では言いづらい⁉︎

ま、まさか告白⁉︎

いやいや、落ち着くのです私、この人はこの前、なぜかお金を差し出してきたんです。

またそんな感じのことに決まってます。


ま、まぁ、でも、もしも、万が一の事がありますから。

心の準備はしておきましょう。


場所は咄嗟に校舎裏にしました。

それから私は少しドキドキしながら放課後を待ちました。

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