第5話 いいか、これはとても重要な確認なんだ……

真由からの


「まだお母さんとお父さんには言わないでおいてやる」


というありがたいお言葉に


「いや、別に言ってもいいんじゃ」


と言ったら


「ぬか喜びさせたくないでしょ!」


と強めに叱られた。

頷くしかなかった。


結局その日は明日への期待と不安を抱えつつ、眠った。



次の日、まるで最終決戦に臨む主人公のような気持ちで学校へ向かう。

千堂花音、隣のクラスみたいだ。

僕を呼び出した時の手紙に丁寧に学年、クラスまで書いてあった。

早速隣のクラスに行って呼び出してみる。


「あの、千堂さんに用事があるんだけど」


「かのんなら今日休みだよ」


休みだった。


少なくとも幽霊ではない現在実在する人だと分かって一安心だ。



あとはもう1人……今日の帰りにでもまた本屋に行ってみるか。

そう思って廊下を歩いていると、


「え⁉︎……あ!」


「しまった!」


件の人、そこにいらっしゃいました。



なぜか逃げる昨日の人、追う僕。

ところで昨日の女性が制服を着ていらっしゃる。

これは一体どういうこと?

しばらく走ると行き止まりにあたった。


「まぁ、仕方がない、ここでいいか」


と何か言っている昨日の人

声をかけようとすると、


「昨日のこと、覚えてる?」


と言われた。


「あ、はい、もちろん、あの時はすいませんでした」


「いや、それはいいんだ。それでだなええと……」


「あ、僕は十宮蓮也です」


「それは知ってる。ちなみにボクは神谷かみや那月なつきだ」


知ってるのか。‘知ってる’って流行ってるのか?


「れ、……十宮君……そ、そう!昨日の本なんだけど!」


あぁ、あのあと結局僕もびっくりして小銭を拾わずに帰っちゃったんだよなぁ。

あの小銭どうなってるのかなぁ。


「あの本!良かったら今度貸してくれないか?」


「あ、すいません。僕も結局あの本は買ってなくて……」


「そ、そうなのか……」


なんだか気まずい。何か話題は……


「そうだ!今度別の本でよかったら貸しましょうか?」


「⁉︎い、いいのかい?」


「ええ、もちろん。あの、それで、一つ聞きたいことがあるんですけど」


「な、何かな?」


「僕達って友達なんですか?」


「え?えぇと……」


「あ……すいません、昨日最後に言った‘ボクと友達になって’って言葉が僕に向けてだと勘違いしちゃって……」


そうか……まぁ会ったばかりの人に友達になろうってのも変な話だしなぁ。

そうか……


「あ、あぁ!そんなに落ち込まないでくれ!で、でも、友達じゃなくて、その、こ、こ」


やっぱり友達じゃなかったか……


「!……あぁ!そうだよ!ボクたちは友達だよ!」


今、友達って……


「本当に?」


「ホントにホントに」


「僕達友達?」


「ボクたち友達!」


やったーー!ちゃんと友達ができた!


「はぁ、ちゃんと言えなかったなぁ……まぁ最初の目的は果たせたんだけどさぁ……」


何かブツブツ言ってたみたいだけど友達だって言ってもらえて嬉しくて僕には何て言ってるか分からなかった。


あ、でもこれだけは聞いておかないと


「あなたは幽霊ですか?」


「何その不正アクセス防止用の確認みたいなやつ」




ロボットでも幽霊でもないんだって

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