第3話 書店員は見た

友達ができた帰り、僕は本屋に来ていた。

もともと来る予定だった所だ。

お金も取られなかったので、本のまとめ買いをする。

ここの本屋には色々世話になったなぁ、一人でいることが多かったから、よくここで本を買って読んでるんだよなぁ。

これからはもう一人じゃない(と思う)けどね!

ということで、買おうと思っていた本を買う。

ちなみに僕は本はあらかじめ買うものをチェックしてから買う派だ。

一応他の本棚もぐるっと見ては見るけど、結局は決めているものしか買わないことが多い。

だからなるべく欲しい本があるように、発売日には来るようにしている。

予約はしない派だ。


目当ての本があって、それに手を伸ばす。

ラスト一冊だったみたいだ。


すると、僕の手の横に別の手があった。

どうやら他にもこの本を買おうとしていた人がいたみたいだ。


「あ、すいません」


その女性が手を引っ込める。


「こちらこそすいません。あぁ、この本はどうぞ、僕は別の所で買うので」


僕は本を譲った。今日は友達ができて気分が良かったから。


「ありがとうございます」


同じ本を読む人に会うのは嬉しいことだ。

勝手に同志だと思ってしまう。

しまった。拗らせすぎたか?

同志を見送り、僕は他の買おうと思っていた本を探す。

本を探し終え、レジに向かおうとすると、さっきの人がなぜかさっきの本を持って戻ってきた。

その人はこっちを向いて、なぜかこの世の終わりのような顔をしていた。

なんでだろう?

……あ、そうか。


「あの〜」


「ひゃ、ひゃい!」


「もしかしてお金が足りなかったんですか?」


「ひぇ?ひぇ〜と、しょの」


とても言いにくそうだ。

やっぱりお金が足りなかったんだろう。

さっき僕に譲られた手前、とて気まずいのだろう。

こういう時はどうすればいいんだろう。

そうか、お金を渡せばいいのか!(謎理論)

でもどうやって渡そう?急にお金を出しても変な感じになりそうだし……

うわぁーどうしよう!分からない!


そうしてテンパりすぎた結果。


チャリーン!

「ほらぁ!拾えばぁ?」


お金を投げつけて渡すという謎のSキャラが誕生した。

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