第2話 放課後アクシデント

突然ですが、友達ができました。

しかも2人も。

最初は夢か幻かばかされたかと思いました。

しかしそうでないことはさっきねじ切った頬が証明しています。

いや、ねじ切ってまではないんですが。

とにかく友達ができた経緯を説明します。

それではどうぞ。




ある日の放課後、僕は校舎裏に呼び出された。

これはもしかしてあれかな?

しめられるやつかな?

友達もいない僕がまぁまぁお金を持っていることを知ったやつにむしり取られるのか?

そんな不安を抱えて一応校舎裏に向かうと、そこには女子生徒が待っていた。

え?僕、女子からお金取られるの?

そういえば手紙に書いてあった名前も女子っぽかったような。

何やら緊張してるっぽい。

なんだ?

とりあえず近づいてみる。

こっちにまだ気づいてないみたいだ。声をかけた方がいいのかなぁ?

たしか名前は……


「あの〜すいません。あなたが……千堂せんどう 花音かのんさんですか?」


「⁉︎、は、はい、そうです。私が千堂花音です」


なぜか変なおじ◯んを思い出した。


「誰だチミはってか」


「⁉︎」


しまった。つい口に出てしまった。


「あぁ、気にしないでください」


「は、はい」


「え〜とそれで……どうかこれで勘弁してくださいませんか?」


五千円札を取り出す。


「⁉︎ な、なんですか⁉︎これは⁉︎」


しまった。額が足りなかったみたいだ。


「すいません、今月は厳しくて、来月には。ですので今はどうかこれで許してください」


今日は五千円札しか持ってきていなかった。帰りに買い物をしようと思って持ってきていたものだ。痛い出費だが、この場を乗り切れるなら安い出費だ。


「いや、今月とか来月とかそういうのはいいので、と、とりあえずお金をしまってください!」


どうやらお金が目的ではなかったみたいだ。

じゃあ一体何が目的なのだろうか?


「え、えと、ちょっとなんで今お金が出てきたのかはわからないんですけど、」


「?それじゃあなんで僕が呼び出されたんですか?あ、僕は十宮蓮也と言います」


「知ってます」


どうやら人違いではないらしい


「そ、それで、今日ここに来てもらったのは、わ、私と……」


私と?


「t、友達からお願いします!」


………友達?


「い、今、友達って言った?」


「?……あ、間違」


「や、やったーー!友達ができたー!」


友達が1人……初めての…人間の友達が…


「え?」


「僕と友達になってくれるの?」


「え、えと、その、」


僕の聞き間違いだったのか………?


「そ、そうか……やっぱり僕には友達は……」


「!と、友達!私たちはもう友達ですよ!」


「ホント?」


「ほ、ホントホント!」


こんなに素晴らしい、満足できることが他にあるもんか!


「あ、あぁ、なんでここで間違っちゃったの……」


千堂が何かぶつぶつ言ってるけど、友達ができて舞い上がっている僕にはなんて言ってるか分からない。




それから少しすると、なぜか急に千堂さんの顔が真っ赤になっていく。


「そ、それじゃあぁぁぁーー!」


千堂さんが走り去っていった。

なんでだろう?

ちゃんと友達にはなれたのかな?

少し不安は残ってるけれど、きっと友達になれたはず!この喜びを胸に買い物へ行こう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る