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赤 なぜチャットをしてるんです?誰かと楽しく話せた事が有りますか?
青 大体はすぐに切られちゃいますねー。
ははっ
赤 でしょうねw
青 失礼な人だな、私は正常です。
赤 異常だとは言っていないのに、正常であると主張する人の負い目の片鱗を確認しました。
青 それは面白いですね。笑ってしまいました。確かにそうだ。
赤 私は仏頂面で、文字を打ち込んでいます。なんなら、少し眉間にしわは寄っているでしょうね。
日付が変わって本日最初の嘘を吐く。
見えもしないのだからいいでしょう。私は笑っている。それも、作りもしない自然な笑顔で。
青 それは困りましたね、妙齢の女性の顔に皺を増やすのは本意ではない。
赤 もう一度だけ聞きます、おいくつですか?
青 あなたより少し若い男です。
赤 それも嘘?
青 これは本当。
赤 という、嘘でしょうね。
青 面倒くさい人ですね、本当だと言っているでしょう。
赤 はいはい、どちらでも何でも構いません。眠れないんですか?
青 妙な時間に目が覚めてしまって。
赤 私も同じです、嫌な夢を見まして。
青 ほう、現実を嫌がっている人の方が余程まともだと思いますが。
赤 わかりますよ、それでも無意識のうちに、それでいて自分の意思で逃れることの出来ない恐怖というのは厄介だとは思いませんか?
青 そうですね、それなら少しわかる。もし、差し支えなければ夢の内容を教えてもらえますか?
この、心地の良い言葉の流れが、刹那の今だけで終わる事が惜しいと思った。
また話せる確証はない。
それに、彼が私と同じ様に考えている事も文字の端々から感じる様な気がするのだ。
根拠のない自信。
赤 提案があります。
青 え?
赤 私は今、ここにLINEのIDを貼ります。
青 ほう
赤 それは、このサイトではやってはならない事です。
青 でしょうね。
赤 君がもし、連絡をくれなければ、私はきっとアクセス禁止になるだけで終わります。ここで無くてもチャットサイトは沢山ある。問題はないでしょう。
青 ふむ。
赤 でももし、君が連絡をくれるのであれば、私と君はネット友達になれるかもしれない。
青 出会い厨ですか?気持ち悪い。
赤 君は、多分小説が好きでしょう。
青 人よりは読む方ですね。
赤 アルジャーノンに花束を、ご存知?
青 タイトルだけなら。
赤 君が好きそうな、小説です。試し読みだけでも読んでみてそれが当たってたら、君は私を連絡先に登録する。
青 提案では無く、強制でしょう。
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