第7.5話 絆の会 稲志田奈々編

「学園祭?」

「そう!我が雛沢附大が誇る1大イベント!多くの来賓来校者が挙って集う、附大生達の戦いさ☆キラーン」

「あー気にしないでください警視。そいつこの時期になるとテンションがいつもの3倍おかしくなるので。無礼講もいいところですよ。」


11月も半ば、オレ達はこの頃、大学の校舎に通い詰めてきた。

覚吏も言うように、この時期になると、雛沢附大学園祭というのが行われる。

大葉警視に詰め寄る覚吏を引き剝がしつつ、計画しているアレを実行に移そうとしていた。


「いよいよ明日か・・・出店。」

「俺達しかできない催し物とかワクワクしますけどね!」

「琉輝君、エリック君。私たちも楽しんでいこう!」

「そっすね!奈々先輩!よぉ~し!頑張るぞー!」


「「えいえいおー!」」


エリックのやつ、すっかり稲志田と仲良しだな。

稲志田も柔らかくなって。

ほほえましいったら、ありゃしない。


「おーい。語彙力が死んでるぞ~?」


うるせぇ。はやくげんばにでももどれ。


「IQダダ下がりだなオイ・・・・あっ、最後に一つ!」

「なんだ~?いわせてやるからはやくいえ~?」

「もう口にしてんじゃん!なんだよ!普段のキレキレのツッコミはどこ行った!なんか寂しいよ!(´:ω;`)」

「琉輝先輩はもうダメみたいですね・・・・見てください。このふやけっぷり。」

「普段は鳥みたいに鋭い眼がこんなにとろけている・・・・確かにダメだ。」


あ^~。しあわせ~・・・・


「りゅ、琉輝君。疲れているなら部屋で休んだら・・・・って、気を失ってるううううううううううう!?!?!?」

「せんぱぁーい!!!!」

「ダメだー!ゲル化して手に負えねえええええええ!!!!」


天使稲志田の囁きで溶けてしまった。文字通り。

後から聞いた話だと、オレを運んだ後、稲志田はすっかり弱気になっていた。





ワイワイ・・・・・



彼らがひと悶着起こしている時、その場から離れた大葉啓二。

その傍にいた、一人の少女の姿が。



「あんなのがあたしと同じ特異班ギルドのチームだなんて・・・・本当に大丈夫?。」


少女は彼を景虎と呼ぶ。


「ああ。きっと大丈夫さ。・・・・・それはそれとして、、外に行こうか。」

「っつても、倉庫の中だけどね。」


大葉と少女は、玄関を出る。

そして、2人の姿は瞬く間に変わる。


男は黒髪の優男という感じから、エキセントリックなニューハーフに。

少女は無気力で小柄な感じから、やや平均的なスタイルの攻撃的な美少女に。


「さぁさぁ、何の話するぅ?ここしばらくみんなと過ごしてどう思ったとか、最近あんまし姿見せてなかった件とか、どういう話するぅ!?」

「うっさい、景虎。あたしはあたし。あいつらはあいつら。別に関わりたくって関わってるわけじゃない。」

「あらぁ~つれないわねぇ。せっかく楽しいイベントとかあるのにねぇ?」

「・・・学園祭でしょ。分かってる。」


少女と景虎と呼ばれる男は学園の外に出る。


「・・・あいつらにはもう言った?」

「ええ。わたしと風環ちゃんは親戚関係で外出するって。学園にはほんとの事を伝えたけどね。」


そして、2人は学園の本人認識AIのカメラの前に立ち、しばらくもせずに。


【スキャン完了。鷲尾景虎わしおかげとら(大葉啓二)様、木戸川凛きどかわりん様、いってらっしゃいませ。】


学園を出た。


「さあ、今日はいいホテルを予約してあるから、そこで一夜を過ごしましょう!」

「このままじゃスキャンダル沙汰だから、元に戻してよ。」

「はいはい。・・・それ!」


そして、2人は先ほどの姿に戻った。


「・・・ほんと便利だよね・・・その能力スキル。」

「わたしの想像変身メイキング・チェンジ、イカシテルでしょ?」

「はいはい。イカシテルイカシテル。」


そのまま、2人は夜に消えていった。

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