第6.5話 絆の会 星宙エリック編

「はあ、はあ、はあ・・・!?」


走る男を追い掛ける。


だがしかし、風に乗る彼は一瞬で追い付く。


「そぉぉおりぃやあああああああ!!!!」


「うわああああああああああああああああああああ!!!!!!」


彼が身体を絞り出すように出した突風は、その男を吹き飛ばした。


「せんぱーい!そっち行ったッスよー!」

「OK!後は任せな!」


オレは建物を這うように吹っ飛んだ男を追跡する。

幸い、方向はオレのところだった。


流体捕縛壁ゲル・キャプチャー・ウォール!」


新たに編み出した新必殺技。

オレ自身がゲル状の壁になることで、相手を捉えて離さない。


オレがこの技を閃いたのは、とりもちにインスピレーションを受けたからだ。


いつも、いつもいつもいつも沸く害虫G共に対していつも作ってる専用ホイホイを、(これを異能犯罪者モンスター共にも応用出来るか・・・・?)と思案したところ、(あっ、ゲル化すれば出来るわ。)という結論に至り、そうして、今に当たる。


「よし確保っと。」


【お疲れ様でした。これにてシミュレーションモードを終了します。】


そして訓練室からシャワールームに向かう。

この一連の流れが、しばらくの過ごし方だ。


「いやーっ、お疲れッス先輩!今日も冴え冴えッスね!」

「お疲れ、エリック。まあ、シャワーでも浴びようか。」


あれから2週間経ち、暦も11月。皆とのコミュニケーションも取れてきた。

星宙エリックとはだいぶ打ち解けられた。

なんでも、彼がここに送られたのは、単独行動が多すぎるからだという。

正義感が強く、誰にも壁を作らないから、そういった理由は意外だった。

まあ理由は・・・・


『「え?なんで単独行動が多すぎるかって?・・・・んなもん皆を守るためッスよ。俺が動かなきゃ、他の皆まで傷ついちゃうかもッスからね。」』


・・・・なんというか、仲間想いのいい奴だな。

「それにしても驚いたッスよ!まさか新人だと思ったら、まさかの先輩だなんて!」

「フフッ、隠してて悪かったな。」

「それに社長や学長とも知り合いなんて!逆らわないほうがいいんじゃないかなーって思ったんすけど・・・・」


まあ、あの時はいきなりだったからな。


*  *  *  *  *


「失礼しまーす。いますかー?どうせいますよね。」 

「ちょ、ちょっと先輩!そんな適当な態度で大丈夫ッスか!?」

「どうせ大丈夫さ。何故なら・・・」

「\( 'ω')/ウオオオオオアアアーーーッ!リュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!お前から来るとは珍しいなあああああああああああ!!!!今日はママにも来て欲しいっていうから大急ぎで連絡したんだぞおおおおおおおおお!!!!!」

「うるせええええええええええ!!!!今日は熱っ苦しいぞオイ!」 

「(  ^ω^)おっ、なんだエリックもいるのかー!今日はどうしたァ!?」

「しゃ・・・社長?ええっとぉ・・・そのぉ・・・き、今日は先輩に連れてもらって・・・」

「リュウウウウウウウウウウウ!!!!!!!お前友達が出来たのかあ!?!?それもエリックか!?なんにせよ姉ちゃんは嬉しいよリュウウウウウウウウウウウ!!!!!!」

「人前でそういうこというな!KYゆるゆる社長!!」

「ああーもううっさいなぁ・・・ってリュウちゃん!?あらぁもう来たの!?待ってたわよぉ、ささ、入って入って!」

「ママーッ!わたしの部屋なんですけど!何自分の家みたいに入れてんの!?」

「実質私の家なんだからいいじゃない!リュウちゃんを見習って、もう少し大人になりなさい!」

「どっちもどっちだよこの権力の無駄遣い親子!」

「―――せ、せんぱーい!俺を置いて行かないでくださーい!!」』

「ああエリックいたの?」「影薄いから気付かなかったわ。」「ひどくない!?」

「悪いな。コイツらこういう奴らだから。いつも騒がしい鶏みたいな奴らだから。」

「「鶏呼ばわりとは関心しねぇぇなぁ~!?」」 「はい釣られた。」

「???」


オーバーヒートしてるな。まあ無理もない。


「よし、今日はノリパでチーム戦だ!親子の力を見せようぜ!」「それよりもぉ~ごちタウンで琉ちゃん破産させましょ?」「言ったなトンチキファミリー共!かかってこいよ!返り討ちにしてやる!エリックと一緒にな!」

「だからおいてかないで~!」

*  *  *  *  *

「あの時は本気でわけわからんなくなりましたよ・・・・」

「大丈夫。初見は大体あんなものだ。お前は普通だ。」


むしろあれについていけたら頭花畑だわ。


「さ、もういいだろう。上がるぞ。」

「はい!」


―シャワールームでの4つの流儀。

1つ。しっかりと髪と頭皮を濡らすこと。

2つ。シャンプーは3分間行うこと。(その間の会話などはコミュニケーション的にGOOD!)

3つ。アラーム音がしたらしっかりと洗い流し、身体をしっかり洗うこと。(2つ目の流儀に乗っ取るのがGOOD!)

4つ。しっかりと洗い終わったら、優しく丁寧に水分をタオルで拭き取る。


そして上がった時、オレの目に映ったのは・・・・・・

「ん?メッセージ?」

「宛先は・・・・・・ええ!?稲志田先輩!?」



         ―こいつは、また一悶着ありそうだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る