第13話 素晴らしき日々
テテテッ、テレッテレー
最高のレベル上げ。
うおっ、眩しっ。
最高の天気。
「おはようっ! 父さん、母さん」
ふんふんふ~ん♪
最高の朝。そして、
「おはおうございます。鉄先生」
最高の登校。
あぁ、なんて最高な1日の始まりなんだろう。というよりここ数週間、私はなんとも清々しく、充実した学校生活を送っている。
なぜかって?
ガラガラ
「おはようー磐上さん」
「おはよー」
「うん。おはよう、皆」
それはね?
「おはよう。晴下君っ」
「おはよう、磐上さん」
自分の描いたシナリオ通り、晴下君との距離がぐっと近付けているからなのですっ!
くぅ。今日も晴下君格好良いなぁ。その外眺めてる姿イケメンだし、太陽の光が顔に当たってるのもグッド! やっぱ朝から見る生晴下君は違うなぁ。
よいしょっと。ふぅ、なんという最高の時間なんだろう。これもあの日、ヤマ張って早めに学校行ったおかげだよね?
そう、あの保健室での奇跡の対面の翌日。約束の事を聞く為に、いつもより早く学校へと来た。するとどうだろう、昇降口前でまたもや奇跡の対面。震える唇噛み締めて、口に出した約束の事。そして晴下君の口から零れた、
『うん。覚えてる』
って言葉。それはもう最高だった。その場でストロベリーメッセ―ジのID交換して、お友達登録完了。友達リストに表示された晴下黎の名前が輝いて見えたっけ?
でもさ? それだけじゃないの。
「ようー、黎! おっはよー」
「朝からうるさいぞ?」
「なんだよ良いじゃねぇか。朝からテンション上げないでどうするんだよ。あっ、彩音ちゃんおはよう」
「あっ、丹波君。おはよう」
そう、丹波君。彼のおかげで私と晴下君の距離は更に深まったといっても過言じゃない。
『よーう黎っ! 昼行こうぜ』
『行くのは良いけど、お前声がでかいぞ?』
晴下君とお友達になった日のお昼休み。いつもの様に丹波君は私達の教室にやって来た。
『でかいか? あっ、磐上さんこんちわ』
『えっ? こっ、こんにちわ』
ぶっちゃけ話した事なかったから、なぜこの日にいきなり挨拶されたのかは分からなかった。
でも、そんな疑問もすぐに解決したんだけどね?
『そういえばさ? 今日の朝、2人でなに話してたんだ? 昇降口の前で』
まさかの見学者。そしてなぜ挨拶をしたのかはっきりと分かった。つまりは、朝から2人でコソコソと何やってたんだぁ? 教えてちょうだいよ? って事だったんだ。
『なっ』
もちろんいきなりの事で、私は動揺したよ? でもそれ以上に、晴下君が少しだけ焦った表情を見せたのが気になっちゃた。
もしかしたら、嫌な思いさせちゃった? 知られたくない事だよね? もしかしてこれを機に距離とられちゃう? なんて慌てまくって、怖くなって……とっさに口に出しちゃったんだ。
『あっ、実はね? お願い事してたんだよ?』
『ん? お願い事?』
『うん……晴下君、副委員長やってくれないかなって』
あの状況で、茶化される事のない会話……それを考えた時、私にはこの内容しか頭に浮かばなかった。
『ただそれだけだ。分かったか?』
『なるほどねぇ』
それに晴下君もうまく話合わせてくれてさ、その場は何とか乗り切れたんだ。でもさ? 一応謝っておかなきゃいけないじゃない? 変な思いさせちゃった事と、副委員長就任なんてただのデタラメだって事。だから2人が教室を出た瞬間ストメしたよ? そう……初ストメ。
【晴下君ごめん! 変な思いさせちゃって!】
私に関わって、嫌な思いをさせるのはどうしても嫌だった。でも、
【助かったよ。ありがとう】
その返事で、暗い気持ちはたちまち消え去ってさ? とっても嬉しかった。
【本当? あっ、副委員長の件もデタラメだからね? 本当ごめんね?】
【いや、大丈夫。それに俺でよかったらやるよ。このままだと永遠決まらないだろうし、そうなったら磐上さんの負担大きいと思うしさ】
その瞬間、心臓持っていかれたよね? いやいや、心の中では思ってたよ? 副委員長とかやってくれないかなぁ。そしたら話す機会も、ふっ2人の時間も増えるのになぁ。ってさ? でもそれが現実となった。
だから、何気にこの丹波君は、私にとって恋のキューピット的な存在なのかもしれない。顔も童顔だし、ハートの弓矢似合いそうだしね? でも……
名前で呼ぶの早くない? しかもちゃんって……なんか嫌。
てか、出来たらそれは晴下君にそう言って欲しいんですけど? 他の人だって皆名字で……って、まぁそれはいまは置いておこう。
兎にも角にも今のところ私にとって、それはそれは順調な流れで、それはそれは楽しい毎日を過ごせている。
となると、後はどうやってもっと仲良くっ! 親密にっ! 晴下君との距離を縮めて行くか。
勝負はここからっ! 晴下君? クールオブクールの強固な仮面、
溶かして見せるからねっ!
「おいっ、見ろよ! このグラドルのお尻」
「でっ、でけぇ!」
…………毎日が楽しすぎてすっかり忘れてた。
小尻目指して、
これからはお尻の筋トレ、いつもの倍しないとっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます