第2話


反射し、溶けていく


まるで生糸のようだ


誰が細かく裁断したのかわからない


墨で描いたような気味の悪い雲と


私の顔色は同系色に違いない


電車を横目に


無意識に歩いていた


傘はもう要らない


雨で落とされた表情にもう用はない


汚れを落とすかのように容赦なく降る


偽りばかりだ


後味は罪悪感の苦みだけ


虚しさが積もり


また偽善に溺れる


嫌悪感を抱かれたくないと


自分で自分の首を絞める


凶器を携えて


笑顔を見て真似て


まるで貴方の腕時計


優しさを滲ませ


また基の完璧な私を演じて


ほんの一瞬で


ほらね。


本当の私を憶えていない。


私は一体誰なのか。

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砂上の楼閣 嶺咲よと @nankyokupenguin

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